
高さ142mの照葉大吊橋から下を見て。橋の下は渓流・綾南川(本庄川)。綾町の中心部はこの綾南川と綾北川、二つの川に挟まれた扇状地だ。河原には大きな岩や石がゴロゴロしている。

宮崎県綾の縄文の森を歩く
Photo Masahiro Goda Text Junko Chiba
台風が宮崎県を直撃した朝、私たちは綾の森へ向かった。歩けるのかと不安がよぎったが、案内人の河野耕三氏(綾町役場・照葉樹林文化推進専門監)は意に介さない。「森の中が真っ暗でないといいんだけど」と、撮影のための光のことだけを心配し、でも「じきに晴れてきますよ」と明るく言って、車に乗り込んだ。走るうちに本当に雨は小降りになり、それと比例して、まだ見ぬ森へのワクワク感が高まった。
縄文の昔、この地を含め、西南日本にはうっそうとした照葉樹林が広がっていた。
文明の進展とともに暮らしに必要な材木を得るために木々が伐採され、あるいは焼き払われた後に水田がつくられ、しだいに姿を消したが、綾町にはその「失われた照葉樹林」が広大な規模で残っている。この「奇跡」の裏で続けられてきた地域づくりの歩みをたどりながら、人々とともに生きる照葉樹林の森を探索した。
縄文の昔、この地を含め、西南日本にはうっそうとした照葉樹林が広がっていた。
文明の進展とともに暮らしに必要な材木を得るために木々が伐採され、あるいは焼き払われた後に水田がつくられ、しだいに姿を消したが、綾町にはその「失われた照葉樹林」が広大な規模で残っている。この「奇跡」の裏で続けられてきた地域づくりの歩みをたどりながら、人々とともに生きる照葉樹林の森を探索した。