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1.真鯛と聖護院かぶら。真鯛は下ろして切り身にし、塩をしておく。
2.かぶらは昆布出汁でよく煮る。
3.鯛を霜降りし、かぶらが軟らかくなったら、鯛を入れてさらに煮る。
4.ズワイ蟹の身をほぐして、出汁で煮る。
5.三つ葉を入れたら、すぐに葛を入れてさらに煮る。
6.最後に鍋の中身をお玉でよくかき混ぜながら、溶き卵を少しずつ入れる。
 だからこそ「和食」は海外でも受け入れられ、変化し、これからも発展していける食文化であると思う。カルフォルニアロールと名古屋の天むすは、本質的には「和食」の概念の中で同列のものなのだ。
 しかし、私の標榜する「日本料理」はこのことではない。
 日本料理は「日本にしか咲かない花」なのだ。高山にしか咲かない花があるように、清流にしか棲めない魚がいるように、日本の水と土と空気の中でなければ枯れてしまう、あるいは別の種類になってしまうものこそが、「日本料理」ということになるのではないか。
 日本は細長い国土の中央に山河が連なり、豊かな平野を通って海につながる。海にはさまざまな海流があり、四季それぞれに異なる魚を連れてくる。
 この日本の国土と海の豊かさこそが、「日本料理」の原点であり、本質だと切に思うのだ。私も若い頃は、この「青い鳥」を何とか海外に連れ出そうとし、そして小さな成功と大きな挫折を繰り返してきたのだが、やはり今までも、これからも、「日本料理」は、日本でしか味わえない日本の精神であり続けるだろう。
 そして我々の仕事は、この豊かな日本の自然を守り、精神を後世に引き継ぎ、これから生まれてくる次の時代の日本人や、これから日本にやってくる海外の人たちに味わってもらうことだ。
 これだけは日本人の私たちにしかできない仕事であり、委ねることはできないのだから。
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