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「神木」と言われる古代檜の湯船に満たされた、姥子の湯。ほのかな檜の香りとともに、やわらかな湯に癒やされる至福の時間。
箱根の魅力を
凝縮した宿 いちい亭
Text Ichiko Minatoya
その昔、宮廷貴族が持つ笏に使われた「いちい」の木。雅な和の心でもてなす宿にふさわしい。日本の四季折々の景色を楽しみながら、箱根の湯を堪能する。これぞ極楽。
箱根は古くから、湯治場として栄えた温泉地だ。特に江戸時代以降、関東の都市部が発展するに従い、都会の喧噪(けんそう)に疲れた人々にとって、もっとも身近な保養地として、高い人気を誇り続けている。箱根は湯量が多く、泉質が多彩で質も良い。昔は今日のように1泊でなく、長期間滞在が主流。特に夏場は避暑をかねて、長逗留(とうりゅう)する客も多かった。昔から宿の数は多かったが、明治以降は富士屋ホテルのような、海外からのVIPを泊める宿も建ち、ますます箱根の人気は高まっていく。その人気は戦後も衰えることなく、高度経済成長期の団体旅行ブームが去った後は、居心地の良いこぢんまりとした宿の時代が到来。各宿がそれぞれのもてなしの特色を打ち出しながら、時に協力し合い、時にライバルとして切磋琢磨しながら、箱根の人気を維持してきた。
 多くの良い宿があり、どこに逗留するか迷うところだが、今、お勧めしたいのは料亭旅館「いちい亭」だ。場所は、まさに隠れ家と呼ぶにふさわしい仙石原の奥座敷。数寄屋造りの館内には五つの和室と、別館の洋室が一つ。規模が小さいからこそできる、訪れた客一人ひとりの心に深く残るもてなしを、というのが、この宿のスタイル。一番の自慢はなんといっても風呂だ。古代檜(ひのき)を使った浴槽は、半露天風呂となっており、心地良く湯に浸(つ)かりながら、晴れた日はもちろん雨や雪の日も乙な景色が楽しめる。注ぐ湯は「姥子(うばこ)の湯」。その名は、箱根の山でクマを相手に相撲の稽古をしたという、あの金太郎こと坂田金時と、その母である山姥の伝説から生まれたもの。修行中に目を痛めた金太郎を案ずる母親に、箱根権現のお告げがあり、それに従い神山の中腹にあるこのあたりの湯で傷を洗ってやったところ目が治ったため、このあたりの湯を「姥子の湯」と呼ぶようになったそうだ。
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