
(左)ブザンソン芸術文化センター
フランス東部のブザンソンの複合的文化施設。ドゥー川の河岸に木の大きな屋根をかけ、その屋根の下にできる箱を一つに統合し、その屋根の下に川風が吹きぬける隙間を作る。この隙間が都市と川とをつなぐ役割を果たし、また風を感じることができる。ⒸNicolas Waltefaugle
(右)サニーヒルズジャパン
日本建築の伝統技術「地獄組み」で組み上げた、竹カゴ状のパイナップルケーキショップ。こうした構造体にしたことで、コンクリートの建築物とは異なる、やわらかで繊細な表情が加わり、通りと建築とが化学反応を起こしているかのようだ。ⒸDaici Ano
フランス東部のブザンソンの複合的文化施設。ドゥー川の河岸に木の大きな屋根をかけ、その屋根の下にできる箱を一つに統合し、その屋根の下に川風が吹きぬける隙間を作る。この隙間が都市と川とをつなぐ役割を果たし、また風を感じることができる。ⒸNicolas Waltefaugle
(右)サニーヒルズジャパン
日本建築の伝統技術「地獄組み」で組み上げた、竹カゴ状のパイナップルケーキショップ。こうした構造体にしたことで、コンクリートの建築物とは異なる、やわらかで繊細な表情が加わり、通りと建築とが化学反応を起こしているかのようだ。ⒸDaici Ano
今、期待が高まっているのは、スコットランドのビクトリア・アルバート・ミュージアム分館だ。地元の崖の形態からヒントを得た有機的なファサードが特徴的で、コンペでは満場一致で決定されたもの。このように多様な自然建材が、コンピューター技術で、物質としての限界を超えて使用できるようになっている。
「木、石などの素材も柔らかい曲線を出しながら、使うことができるようになっています。細かい粒子が重なり合ったような、人間の皮膚を思わせる生物的な建築が今後の課題です。いつか、布も建材に使ってみたいとも思っています」
南青山のサニーヒルズジャパン(パイナップルケーキ店)は、その代表といえる。細い木材が編み込まれたようにデリケートに積み上がり、ふんわりとショップを包み込んでいる。単に張り付けられたファサードでなく、日本の木造建築に伝わる「地獄組み」というジョイントシステムを用いて組み上げ、構造体として自立している。このように、材料、技術、職人らによって小さな場所に小さなエレメントで築く、粒子の建築ともいわれる隈氏の独特のスタイルは、9・11、そして、東日本大震災を経てさらに顕著になったようだ。
「コンクリートの巨大な塔ではない、“小さな建築"が、その土地と人をより結ぶと考えています。なぜかというと、大きな建物には“小さな建築"を部分的に応用することができるからです。
そうすることで、コピペしたように一律な世界各地の大型再開発の中で、その地域の個性が一目で分かるようなものができるはずです。それが、アジアの建物の独自性になっていくと考えています」
2020年にオリンピックの開催が決まり、東京は建築ブームとなっているが、その中でも小さな建築へのチャレンジは続く。
「しかし全てのプロジェクトが、判で押したように、納期が決まっていて予算がない、と。早く、安く、大きく……つまらないですね」
「木、石などの素材も柔らかい曲線を出しながら、使うことができるようになっています。細かい粒子が重なり合ったような、人間の皮膚を思わせる生物的な建築が今後の課題です。いつか、布も建材に使ってみたいとも思っています」
南青山のサニーヒルズジャパン(パイナップルケーキ店)は、その代表といえる。細い木材が編み込まれたようにデリケートに積み上がり、ふんわりとショップを包み込んでいる。単に張り付けられたファサードでなく、日本の木造建築に伝わる「地獄組み」というジョイントシステムを用いて組み上げ、構造体として自立している。このように、材料、技術、職人らによって小さな場所に小さなエレメントで築く、粒子の建築ともいわれる隈氏の独特のスタイルは、9・11、そして、東日本大震災を経てさらに顕著になったようだ。
「コンクリートの巨大な塔ではない、“小さな建築"が、その土地と人をより結ぶと考えています。なぜかというと、大きな建物には“小さな建築"を部分的に応用することができるからです。
そうすることで、コピペしたように一律な世界各地の大型再開発の中で、その地域の個性が一目で分かるようなものができるはずです。それが、アジアの建物の独自性になっていくと考えています」
2020年にオリンピックの開催が決まり、東京は建築ブームとなっているが、その中でも小さな建築へのチャレンジは続く。
「しかし全てのプロジェクトが、判で押したように、納期が決まっていて予算がない、と。早く、安く、大きく……つまらないですね」