世界の贅沢、NILEの贅沢

アーティストであり、哲学者でもある、李禹煥氏

　「シャトー・ムートン・ロスチャイルド2013」のアートラベルを描いたのは、韓国人アーティストの李禹煥（リ・ウーファン／Lee Ufan）氏。画家、彫刻家、哲学者という多彩な顔を持ち、ワインにも精通する。李氏は、1936年に大韓民国の山村で生まれ、伝統的な教育を受けながらも、西洋文化に触れてきた。1956年には、日本に移住し、東京の日本大学で哲学の学位を取得。それ以来、彼のアートは、自分自身と他人や物事との関係性、独自性、他者との相違点といったことへの一定の価値観により醸成されてきた。絵画においては、単色使いのシンプルな形でありながら、様々な影が長いストロークでキャンバスに配置されたり、またはランダムな点の上に集められたりしている。
　今や世界的に有名なアーティストである李禹煥氏は、2000年の上海ビエンナーレでのユネスコ賞や、2001年のジャパン・プレミアム・インペリアーレといった数々の権威ある賞を受賞している。彼の作品は、ベニス・ビエンナーレ、パリのジュ・ド・ポーム美術館、ニューヨークのグッゲンハイム美術館とニューヨーク近代美術館に展示されている。2010年、彼の作品を高く評価した美術館が安藤忠雄氏の設計により日本の直島に落成。また、2014年には、ヴェルサイユ広場に多数の作品が展示された。「シャトー・ムートン・ロスチャイルド2013」は、およそ一ヶ月の製作期間を経て、2015年の秋に発表された。