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1.今回の主役は、冬野菜の代表選手、加賀蓮根と聖護院蕪。
2.蓮根をすり下ろした時に出た水分を取っておき蓮根のでんぷんを取り、下ろした蓮根に混ぜる。
3.フライパンでよく煎った胡麻を加える。
4.蒸し上がった蓮根餅は、ほのかに黄を帯び、胡麻が目立つ。
5. 聖護院蕪を下ろし金で下ろす。
6.下ろした蕪をつくね芋と合わせて、手の中で軽くまとめる。
 蓮根が“王"なら、“女王"は蕪ではないだろうか。大根と似てはいるが、決定的に違うのは香りだろう。大根は日陰の香り、陰の味わい。蕪には日なたの優しい香りがある。
 その蕪の中でも、白眉はやはり聖護院蕪である。香りはもちろん、きめ細やかな味わいは他に類を見ない。この蕪を十分に味わいたければ、やはり、かぶら蒸しである。こちらは、すり下ろして水気は切り、下ろしたつくね芋と、軽く泡立てた卵白を全体の一割程度加え、わずかに塩をして丸くまとめる。この時、手の中で軽く包み込むように形を整えるが、水気が垂れないくらい、が望ましい。正調のかぶら蒸しならば、これに百合根、銀杏、甘鯛、きくらげ等を入れて蒸し上げ、葛あんを掛けて楽しむ。「かんだ」で椀とするならば、何も加えずそのままに蒸し上げる。
 私個人は、具だくさんの茶碗蒸しやかぶら蒸しが好きだけれども、“椀"には格式が必要であり、一つの椀に多くの素材を入れると、何を食べさせたいのか分からなくなる。「蕪のきめ細かさと優しい口触り」を楽しんでもらうには、答えは引き算で出すのが賢明だ。雪のように白く、雲のように軽く蒸し上げられた、かぶら蒸しに、冷たい海の松葉ガニのほぐし身を加えて椀とする。どちらも寒さに鍛え上げられた甘さだ。
 響き合う自然の二重奏である。

元麻布「かんだ」
東京都港区元麻布3-6-34 カーム元麻布1F TEL03-5786-0150
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