PAGE...1|2
ホワイトアスパラガスの湯葉しんじょ椀
ホワイトアスパラガスの乳白色に合わせて、すり身には多めに湯葉を混ぜ込み、しんじょとした。湯葉のしんじょのもっちり感に、ホワイトアスパラガスのシャキシャキとした食感がある、優しい味わい。カタクリの葉を添えてふんわり女性らしい椀に。
椀味不只淡 第12回
文・神田裕行(元麻布「かんだ」店主)
Photo Masahiro Goda
神田裕行の椀五十選 第12回
小さい頃にアスパラガスを食べた記憶がない。古代ギリシャでは2000年も昔から食用として栽培されていたらしいが、日本での最初の栽培記録は1924年北海道岩内町という所で、さらに一般的に栽培されるようになったのは昭和30年代後半とある。ふむふむ、要するに私と同じくらいの歴史というわけだ。
 日本料理を標榜している身ゆえ、洋野菜の扱いには懐疑的なところがある。洋野菜とは、つまりカタカナで表記されている野菜たちのことで、例えばトマト、レタスに始まり、ズッキーニ、クレソンなども当てはまる。しかし、白菜、大根、隠元豆なども、もともとは大陸からの輸入品であることを鑑みればあまり頑固なのも気が引ける。
 そこで今回テーマにしようとしたアスパラガスを調べ、前述のようにほぼ同い年の歴史ということで納得した。やれやれ。
 アスパラガスには盛り土をして全く外気に触れさせず、まるで深窓の令嬢のごときホワイトアスパラガスと、太陽の力でメキメキと土を割ってみるみる伸びる若武者のようなグリーンアスパラガスがある。
グリーンアスパラガスとアワビの葛煮
グリーンアスパラガスとアワビの組み合わせは意外とよくある。とはいえ、椀に仕立てることは少ないだろう。グリーンアスパラガスはあえて大きめ、アワビも分厚く切り、素材のうまみを葛で煮て閉じ込めた。見た目も味も“豪快な男の椀”だ。
PAGE...1|2
LINK
GOURMET
元麻布 かんだの旬椀 ―春~初夏
>>2015.6.17 update
STYLE
会員特別イベント at 「ハイレーゼ三軒茶屋」
>>2009.6.5 update
GOURMET
椀味不只淡 第5回
>>2013.12.24 update
GOURMET
椀味不只淡 第15回
>>2013.12.16 update
GOURMET
椀味不只淡 第16回
>>2013.12.13 update

記事カテゴリー