
(左)オーデマ ピゲ歴史研究家のマイケル・フリードマン氏。2013年にオーデマ ピゲへ入社し、同社ミュージアムのための時計収集、ブランドの遺産に関する出版、展示会、調査・分析活動に従事する。オーデマ ピゲのヴィンテージウォッチのコレクターが多く、重要市場である日本からの披露となった。(右)4年の歳月をかけて完成させた。書籍編集中にオークションで手に入れたモデルもある。希少なモデルばかりを掲載しているので、世界中のコレクターから時計を借りてすべての写真を撮りおろしている。

オーデマ ピゲ 20世紀の時計大全
20世紀のコンプリケーションモデルを網羅した歴史書
1875年にスイスで創業した歴史ある高級時計ブランド、オーデマ ピゲ。その1882年から1969年までのコンプリケーションモデルを網羅した英語版書籍『AUDEMARS PIGUET 20TH CENTURY COMPLICATED WRISTWATCHES』が4年の歳月を経て完成。書籍のプロモーションに本国から駆けつけた、オーデマ ピゲ歴史研究家のマイケル・フリードマン氏に、その見どころを聞いた。
「この書籍をつくるにあたり、実際に調べ始めて大きな発見がありました。それはオーデマ ピゲの“ヴィンテージ"と呼ばれる時計の希少性です。私も時計業界に身を置いて25年になるので、もちろん“少ない"ことは知っていましたが、オーデマ ピゲが20世紀(1882年~1969年)につくった機械式時計は550本しかありません。しかも1950年までの時計は全て1点ものだったということも、衝撃的です。また、この時代の時計師たちは、今とは違う時計づくりを実践していました。人数が少なかったこともあると思うのですが、ある時期はリピーターだけ、クロノグラフだけ、カレンダーだけと皆で同じムーブメントをつくり続け、おのおのがつくったものをアドバイスし合ったり、精度を高める方法を考えたり、協業していたのです。そしてよりよいムーブメントを完成させて、数年後にケーシングして製品化する。とかなり順序立てて、戦略的に時計をつくっていたことも見えてきました」
フリードマン氏は、資料を読みあさっていくうちにこうしたことに気づき、編集する書籍もしっかりオーガナイズしなければと考えた。そこで機械式時計をリピーター、カレンダー、クロノグラフの三つのカテゴリーに分け、その時計が出来上がるまでに関わった時計師、そのネットワーク、他ブランドとの関係などがこと細かに分かるようにした。
「この書籍をつくるにあたり、実際に調べ始めて大きな発見がありました。それはオーデマ ピゲの“ヴィンテージ"と呼ばれる時計の希少性です。私も時計業界に身を置いて25年になるので、もちろん“少ない"ことは知っていましたが、オーデマ ピゲが20世紀(1882年~1969年)につくった機械式時計は550本しかありません。しかも1950年までの時計は全て1点ものだったということも、衝撃的です。また、この時代の時計師たちは、今とは違う時計づくりを実践していました。人数が少なかったこともあると思うのですが、ある時期はリピーターだけ、クロノグラフだけ、カレンダーだけと皆で同じムーブメントをつくり続け、おのおのがつくったものをアドバイスし合ったり、精度を高める方法を考えたり、協業していたのです。そしてよりよいムーブメントを完成させて、数年後にケーシングして製品化する。とかなり順序立てて、戦略的に時計をつくっていたことも見えてきました」
フリードマン氏は、資料を読みあさっていくうちにこうしたことに気づき、編集する書籍もしっかりオーガナイズしなければと考えた。そこで機械式時計をリピーター、カレンダー、クロノグラフの三つのカテゴリーに分け、その時計が出来上がるまでに関わった時計師、そのネットワーク、他ブランドとの関係などがこと細かに分かるようにした。