
浅蜊と九条ネギの吸い物椀
一粒一粒の貝のガラが異なる天然の浅蜊は、貝殻いっぱいに身が詰まっている。豊潤な身から出るうまみが詰まった出汁は夏になると重たく感じるため、九条ネギで少し味を軽くして頂く。
一粒一粒の貝のガラが異なる天然の浅蜊は、貝殻いっぱいに身が詰まっている。豊潤な身から出るうまみが詰まった出汁は夏になると重たく感じるため、九条ネギで少し味を軽くして頂く。
ネギは白い所にあまみがあり、青い部分に香りがある。だから同時には入れず、白い所から徐々に時間差で入れ、青い先は最後に。切り口の鮮やかさも、ごちそうである。きれいに汚れを落とした浅蜊の汁は透明感があり、調味料は何もいらない。天然の栄養ドリンクさながらに五臓六腑にしみわたる。
夏の潮汁のもう一つの雄は、オコゼである。必ず生きたものでないとダメ。いけすから取り出し、毒ビレを立てて威嚇するのをさばくには、多少の訓練と分厚い手袋が必要。毒ビレを切り離されたオコゼは観念してなお、しかめ面で睨みつけるが、このしかめ面もコラーゲンのかたまりだと思えばいいのだ。腸の一部を除き、各部位に切り分けて霜降りする。黒い皮に浮いた白い汚れを丁寧にこそげとり、淡く塩をして半時。こちらは水と酒、半々で昆布を差し、白ネギを少し入れて火にかける。ネギのぬめりがオコゼの灰汁を包んで固まり、灰汁が引きやすくなる上、上品なあまさを与えてくれて、味わいに余韻を持たせてくれるからだ。
海の汚れは味わいの汚れになる。来年はまた木更津に行きたいと思う。
元麻布「かんだ」
東京都港区元麻布3-6-34 カーム元麻布1F TEL03-5786-0150
夏の潮汁のもう一つの雄は、オコゼである。必ず生きたものでないとダメ。いけすから取り出し、毒ビレを立てて威嚇するのをさばくには、多少の訓練と分厚い手袋が必要。毒ビレを切り離されたオコゼは観念してなお、しかめ面で睨みつけるが、このしかめ面もコラーゲンのかたまりだと思えばいいのだ。腸の一部を除き、各部位に切り分けて霜降りする。黒い皮に浮いた白い汚れを丁寧にこそげとり、淡く塩をして半時。こちらは水と酒、半々で昆布を差し、白ネギを少し入れて火にかける。ネギのぬめりがオコゼの灰汁を包んで固まり、灰汁が引きやすくなる上、上品なあまさを与えてくれて、味わいに余韻を持たせてくれるからだ。
海の汚れは味わいの汚れになる。来年はまた木更津に行きたいと思う。
元麻布「かんだ」
東京都港区元麻布3-6-34 カーム元麻布1F TEL03-5786-0150