
オコゼの潮仕立て
グロテスクな風貌のオコゼだが、身は真っ白で美しく、味はフグに一番近いといわれている。オコゼのおいしさを味わうなら、潮仕立てにして汁と身を“そのまま”に食べるのがいい。
グロテスクな風貌のオコゼだが、身は真っ白で美しく、味はフグに一番近いといわれている。オコゼのおいしさを味わうなら、潮仕立てにして汁と身を“そのまま”に食べるのがいい。

椀味不只淡 第14回
文・神田裕行(元麻布「かんだ」店主)
Photo Masahiro Goda
Photo Masahiro Goda
神田裕行の椀五十選 第14回
2010年6月、家族で潮干狩りに出掛けた。場所は家から1時間程度の千葉・木更津だった。家長でありながら子供たちに負けたくない、という狭い了見の父である私が、我先に手当たり次第に掘り返し、浅蜊のみならず、蛤までとれて大量となったまでは上機嫌だったのだが、いざ全員の収穫を合わせると結構な量となり、その後の下処理と調理が自分であることをふと思い出して、頭を抱えた次第である。浅蜊は砂をよく噛んでいる上、中には“死貝"で砂だけが詰まった“バクダン"もある。こんなやつが味噌汁の中に一個でも紛れたら、まさに“砂を噛む"思いになってしまう。見分ける方法はただ一つ。貝と貝を合わせてたたき、“カンカン"と高い音がすれば良し。“ゴツッ"と低い音がしたら“バクダン"の可能性が高いと見ていいだろう。安全策をとり“疑わしきはゴミ箱"にした方が賢明である。