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多品種の野菜が季節ごとに豊富にとれる。カブ、ツケナ、ネギ、イモ、ダイコン、ゴボウ、ラッキョウといった伝統野菜も数多くある。
「食育」の発祥の県
福井県は人口当たりの寺社数が最も多い県だという。信仰心があつい、その一つの表れに「おすそ分け文化」がある。自分の家でとれた米や野菜を親類や友人、ご近所さんなどに気前よくあげてしまうとか。「農産物の2割は、市場に出回らないかもしれませんね」と西川知事は笑う。また、特に浄土真宗が浸透している地域では、暮らしの中に宗祖・親鸞聖人を敬い、先祖をしのぶ「おつとめ」が息づいている。報恩講は最も重要な行事である。
「報恩講料理というのがあって、一汁三菜を基本に、厚揚げとジャガイモの煮物やナスの煮物、スコという里芋の茎の酢の物など、郷土料理が並びます。もう一つ、曹洞宗大本山永平寺の精進料理も有名ですね。開祖・道元禅師は食を修行の域にまで高めたことでも知られています」
 食は体を養い、心を養う。その流れをくむものか、福井県は「食育」の先駆けとしても注目される。
「最初に『食育』という言葉を使ったのは、福井市に生まれた石塚左玄という医師です。今から100年以上も前に、食生活が心身ともに健やかな人間をつくるとし、そのための『食育』の重要性を提唱したのです。氏の精神を引き継ぐように、例えば小浜市では、役所に食のまちづくり課を設けて専門職を配置するなど、市を挙げて食育活動に取り組んでいます。また、鯖江市では学校給食に越前漆器を導入するなどの食育活動を推進し、大野市では行政のみならず市民・地域・家庭・学校などが食を守る担い手となって食守活動を展開しています。昨年、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、これら三つの事例は実は、政府が登録に際して紹介した23事例に採用されたものなんです。登録に福井県もいくばくかの貢献ができたと自負しています」――食育の成果は、「子供たちの学力・体力トップクラス」という部分にも表れているのではないだろうか。
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