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越前がには、雄のズワイガニのことを指す。海底290~350m付近に生息し、脱皮を10回以上繰り返す。大きいものは重さ1㎏以上にもなる。
「越前がに」のうまさに歴史あり
おいしいものがあり過ぎる「福井の食」。西川知事はまず、全国で唯一、皇室に献上される冬の味覚の王者・越前がにを俎上に載せた。
「越前がには、もしかしたら1700年以上前から食されていたかもしれません。『古事記』にそれらしき記述がありましてね。応神天皇が美しい娘を見初めて、『この蟹や何処の蟹百伝ふ角鹿の蟹横去らふ……』という歌を詠んでいます。角鹿は敦賀のことで、敦賀の蟹といえば今の越前がに、というわけです」
 時代が下って1511年、三条西実隆という公家の日記には「伯少将送越前蟹一折」「越前蟹一折遣竜崎許了」といった記述があり、こちらは越前でのカニの水揚げを思わせる。日本でカニ漁が始まったのは安土桃山時代とされるが、その頃にはもう越前がにのうまさは広く知られていたのではないかと推察される。
 では、なぜ越前がにはうまいのか。その秘密は漁場にある。越前海岸沿岸は暖流と水温の低い日本海固有水の影響により、豊かな資源が育まれる好漁場だ。さらに、海底が段々畑のような地形で、カニにとってはすみ心地が良く、エサも豊富。そんな最良の環境が越前がにのうまさを育てるのだ。
「ぜひ福井に来て、とれたての越前がにを最高の塩加減とゆで加減で味わっていただきたいですね。刺し身、焼きガニ、しゃぶしゃぶ、鍋、炊き込みご飯など、どんな調理方法でも、うまさを堪能できます。また越前がにはオスのズワイガニですが、メスのせいこがにもおいしい。作家の開高健さんが愛した、その名も『開高丼』というものもあります。ゆでたせいこがにの脚の身と内子、外子をご飯の上に豪快に載せて、カニミソスープをかけたもので、素晴らしくおいしいですよ。あと、脱皮直後の水ガニというのも甘くてジューシーで、地元で愛されている“絶品カニ"。輸送が難しいので、福井まで足をお運びを。一食の価値あり、です」
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