
毛蟹と帆立の貝柱のしんじょ椀
毛蟹のしんじょには、毛蟹と同じ産地・北海道の天然帆立の貝柱をつなぎに使う。甘みに共通点を感じるからだ。
毛蟹のしんじょには、毛蟹と同じ産地・北海道の天然帆立の貝柱をつなぎに使う。甘みに共通点を感じるからだ。

椀味不只淡 第17回
文・神田裕行(元麻布「かんだ」店主)
Photo Masahiro Goda
Photo Masahiro Goda
神田裕行の椀五十選 第17回
人間は、思い込みの動物であると思う。
先日、実家でテレビ番組の撮影をしていた時、父が「私が三代目で、息子(私)が四代目です」と言った。
自分は三代目だからと思い込んで、30年料理をやってきたのにだ。
「三代目は家をつぶす」と世間にいわれてなるかと、がんばってきたつもりであったのに。まあ、50歳になった今にしてみれば、どうでもよいことでもあるのだが……。
料理をしていく上でも、思い込みはたくさんある。この材料はこうしなければいけない、とか、この材料とこれとは合わない、とか。
修業時代に教わったことや、なんとなく長年自分にしみ込んだ思い込みが、少なからず自分の料理を形作っている。
しかし、“進化"とは、この思い込みを打ち破ることから始まる。
先日、実家でテレビ番組の撮影をしていた時、父が「私が三代目で、息子(私)が四代目です」と言った。
自分は三代目だからと思い込んで、30年料理をやってきたのにだ。
「三代目は家をつぶす」と世間にいわれてなるかと、がんばってきたつもりであったのに。まあ、50歳になった今にしてみれば、どうでもよいことでもあるのだが……。
料理をしていく上でも、思い込みはたくさんある。この材料はこうしなければいけない、とか、この材料とこれとは合わない、とか。
修業時代に教わったことや、なんとなく長年自分にしみ込んだ思い込みが、少なからず自分の料理を形作っている。
しかし、“進化"とは、この思い込みを打ち破ることから始まる。