
眠りから覚めた琵琶湖。今にも雨が降りだしそうな曇天のこの日、朝もやが掛かった幻想的な姿を浮かび上がらせた。湖面は穏やかで静か。湖畔で迎える朝は気持ちがいいものだ。

金寳冨貴・竹生島巡り
写真・トニータニウチ 文・千葉潤子
神社・寺院で手を合わせる時、心に「財運」の2文字が浮かぶ人は多いだろう。
その財運をもたらすとされるのが弁才天。
古代インドの水の神サラスヴァティーをルーツとし、神仏習合の流れの中で日本人の心に“降臨”した女神である。
財運に恵まれるためには、まず弁才天を参詣し、心を清めるのが順序というもの。
「金寶冨貴の聖地」とも言われる、琵琶湖に浮かぶ小さな島・竹生島に向かった。
近江の竹生島(ちくぶしま)は相模の江の島、安芸の厳島と並んで「日本三弁才天」と称される。いずれも水辺の地。弁才天にはもともと、サラスヴァティーに由来する水の神という性格があるので、水に深い関係のある場所に祀(まつ)られることが多いのだ。

夜の眠りに就いた琵琶湖を東岸の町・長浜から望む。長浜は豊臣秀吉が初めて一国一城の主となった所。琵琶湖の舟運を重視した領国経営を行った秀吉の影が今も色濃く残る。