PAGE...1|2|3
1.鮮度のいい生の鯨のサエズリ(舌)を使う。
2.臭みを取るため、ぬかを入れてよく湯がき、一晩水にさらしておく。
3.そのサエズリと車麩(くるまふ)をスライスし、二番出汁と酒、しょうゆで煮込む。
4.北寄貝は、出汁が最もよく出る貝だといわれている。
5.殻から取り出した身は、塩でよくもんでぬめりを取る。
6.北寄貝に葛をまぶし、穴の空いたお玉に載せて湯引きする。
噴火湾は、正式名称を内浦湾といい、文字通り有珠山や駒ケ岳などの火山に囲まれていて、その昔、カルデラに海水が浸入してできた場所だともいわれているらしい。
 プランクトンの多い寒流と火山のアルカリ。こんな場所に旨いものができないはずはないだろう。早速、現地の料理屋で海の幸を賞味したところ、北寄貝が素晴らしくおいしかった。それまでは、あの色味になんとなくなじめず、敬遠していた食材であったが、北海道で食べるそれは別物だった。やはり名産品とは現地にて味わうものだ。そして、噴火湾の海底は、海産物にとって「何か」があるに違いない。
 この地域の昆布に合わせているのが、鹿児島県薩摩半島の南西部に位置する枕崎の「かつお節」である。カツオは日本で最も古くから食べられている魚だが、江戸時代には燻煙することによって、現代のかつお節に近いものが生み出され、その後、カビ付けの技術が進み、「枯節」へと進化していく。しかし、カツオの身に脂肪分があると出汁が濁り、また旨みが少ないので、エサを食べて脂質を蓄える前のカツオがかつお節に適しているということで、本州の最南端である枕崎がかつお節生産の中心地として発展したのだ。
PAGE...1|2|3
LINK
GOURMET
椀味不只淡 第15回
>>2013.12.16 update
GOURMET
神田裕行 真味只是淡 第九回
>>2015.4.30 update
GOURMET
神田裕行の椀五十選 第1回
>>2014.1.10 update
GOURMET
椀味不只淡 第20回
>>2013.12.11 update
GOURMET
椀味不只淡 第18回
>>2013.12.11 update

記事カテゴリー