
鯨のサエズリと車麩煮
サエズリは鯨の舌だ。ゲイタンとはせずに、サエズリとは気が利いている。“海獣”の旨みと香りには山椒がよく合う。
サエズリは鯨の舌だ。ゲイタンとはせずに、サエズリとは気が利いている。“海獣”の旨みと香りには山椒がよく合う。

椀味不只淡
文・神田裕行(元麻布「かんだ」店主)
Photo Masahiro Goda
Photo Masahiro Goda
神田裕行の椀五十選 第19回
日本の海には、3000を超える種類の魚がいて、そのうちの約500種が私たちの食卓に上るといわれている。この“海洋水産国ニッポン"を支えているのは、親潮といわれるほどプランクトンの豊富な冷たい海流と黒潮や対馬暖流といわれる暖かい海流が日本を取り囲み、各地でぶつかり合っていることだが、この海流の出合いはそのまま「かつお節と昆布」の“ 出逢い"でもある。
昆布の生産量の95%を占めているのは、むろん北海道で、残り5%を青森、岩手、宮城の東北3県が分け合っている。このことからも、昆布は寒流の親潮に育まれた産物であることが分かる。私は個人的に真昆布を最上と心得ているが、これは寒流が津軽海峡に流れ込む、噴火湾の産物であるらしい。そこで先日、この海を見渡せる場所へ行ってみた。
昆布の生産量の95%を占めているのは、むろん北海道で、残り5%を青森、岩手、宮城の東北3県が分け合っている。このことからも、昆布は寒流の親潮に育まれた産物であることが分かる。私は個人的に真昆布を最上と心得ているが、これは寒流が津軽海峡に流れ込む、噴火湾の産物であるらしい。そこで先日、この海を見渡せる場所へ行ってみた。