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地元でよく使われる“不昧公好み"という言葉にも、その片鱗(へんりん)が感じられる。不昧公の精神を継ぐ老舗の茶屋や菓子処どころが、その銘茶や銘菓を今も作り続けているのである。こうした背景を知ると、松江で茶屋や菓子処に入るのが、いっそう楽しくなる。今も街のどこかで不昧公が、「うむ、うむ」とうなずいているような、そんな気がしてくるのだ。
 松江には至るところに菓子処があるが、感心するのは、どこをのぞいても、常に客が入っていることだ。松江の人々にとって和菓子が特別な日のものではなく、日常の友であり、それぞれにひいきの店を持っているということの表れなのだろう。

(上左)1874(明治7)年創業の御菓子司「彩雲堂」。職人の技術が高く、「カラコロ工房」で講師を務めるほか、全国和菓子協会が主催する「選・和菓子職」に5人の職人が認定されている。/(右)抹茶と菓子を振る舞ってくれた老舗菓子処「風流堂」の寺町店。初代、内藤竹次郎は、京や江戸など全国各地から多くの菓子職人を招いて、菓子作りの技法を習得した人物。
(下左)1809(文化6)年創業「桂月堂」。季節の菓子のほか、松江銘菓や不昧公好みの銘菓の数々が味わえる。地元はもちろん、東京・銀座や大阪、福岡など全国の百貨店で販売している。/(右)1929(昭和4)年、岡栄三郎が創業した「三英堂」。天皇皇后両陛下、皇太子夫妻の御料菓子を献上したこともあり、島根出身の陶芸家・河井寛次郎を始め、芸術家の間でもファンが多い。
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