
多様な文化が混在する深い霧に包まれた丹波
田んぼが広がり、そこに張り付くように家々が並び、そこを囲むように山々が連なる。そんな丹波の里山は春秋、美しい霧の風景を描き出す。
田んぼが広がり、そこに張り付くように家々が並び、そこを囲むように山々が連なる。そんな丹波の里山は春秋、美しい霧の風景を描き出す。
「丹波」の地名を紐解くと
現在の行政区分で言う丹波市は、2004年に兵庫県氷上郡の6町――柏原町・春日町・市島町・青垣町・氷上町・山南町が合併して誕生した新しい市である。これとは別に「丹波」という地名にフォーカスした時、大きく二つに分けられる。丹波市と篠山市の「兵庫丹波」と、亀岡市・南丹市・船井郡京丹波町・綾部市・福知山市を擁する「京丹波」だ。
さらに時代を遡れば、丹波に兵庫も京都もなく、但馬や丹後などを含む広大な国だった。地名の由来には諸説あるが、中でも興味深い『丹後国風土記』にある記述を紹介しよう。
「食物・穀物を司る女神・豊宇気大神が伊佐奈子嶽に天降られた時、天道日女命たちに五穀と桑や蚕などの種をお願いされた。そこでその山に真名井を掘って灌漑し、水田陸田を作り種を植えた。すると、秋には稲が稔った。大神は喜んで『まことに立派に稔った田庭だね』と言い、高天原に帰って行った」――この「田庭」が「たにわ」と読む丹波の語源になったと記されている。また、丹波が昔から稲作の盛んな地域であったことの裏付けにもなるだろう。
「丹波市は、“大きな丹波"から見ても、また気候・風土的にも“奥丹波"と呼ぶのがしっくりと合いますね」と宮川さんは言う。
さらに時代を遡れば、丹波に兵庫も京都もなく、但馬や丹後などを含む広大な国だった。地名の由来には諸説あるが、中でも興味深い『丹後国風土記』にある記述を紹介しよう。
「食物・穀物を司る女神・豊宇気大神が伊佐奈子嶽に天降られた時、天道日女命たちに五穀と桑や蚕などの種をお願いされた。そこでその山に真名井を掘って灌漑し、水田陸田を作り種を植えた。すると、秋には稲が稔った。大神は喜んで『まことに立派に稔った田庭だね』と言い、高天原に帰って行った」――この「田庭」が「たにわ」と読む丹波の語源になったと記されている。また、丹波が昔から稲作の盛んな地域であったことの裏付けにもなるだろう。
「丹波市は、“大きな丹波"から見ても、また気候・風土的にも“奥丹波"と呼ぶのがしっくりと合いますね」と宮川さんは言う。