一方、東のイーストエンドは、19世紀に栄えた海運業を柱に、世界各地から労働者が集まり、スラムなどが多いブルーカラーの街になった。第2次大戦では、イーストエンド一帯が爆撃され、多くのドックや倉庫が閉鎖。荒廃していった。しかし、20世紀末から大規模なウオーターフロントの再開発が始まり、2012年のオリンピック競技場などが建設されたことで、イーストエンドは大きく変貌(へんぼう)した。倉庫や工場跡を改造し、若いクリエーターが居を構えるようになり、ギャラリーや工房、新しいレストランやカフェ、クラブなどが開業。さらに今ではロンドンのポップカルチャーの発信地になっている。かつて、切り裂きジャックが徘徊(はいかい)し、犯罪の巣窟であった街の治安もかなり良くなった。さらに、不動産の急騰により、移民たちが転出しているとはいえ、カレー街とも呼ばれた庶民的でエスニックな雰囲気はしっかりと残っている。レンガ工場の跡であるブリックレーンなどには個性的な店やマーケットが並ぶ、ロンドンの観光名所となって、にぎわいを見せている。


(上)イーストには、若者や多様な人種が住んでいる。米国とは異なり、黒人と白人が共存している。古着屋や安い衣料店が多く、ファッションも多彩だ。
(下)イーストのカフェはアットホームな雰囲気で若いコミュニティーが集う。間口が狭く、奥行きがあるのが特徴。
(下)イーストのカフェはアットホームな雰囲気で若いコミュニティーが集う。間口が狭く、奥行きがあるのが特徴。