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友釣りとは、ご承知のように、釣り糸の先に囮おとりの鮎を付け、これを攻撃してくる鮎を釣つり鉤ばりに引っ掛けようとする漁法。
 多少の例外はあるものの、友釣りは鮎にしか行われない。それは鮎が縄張りを作り、川の一部を占拠する性質を持つ魚だからだ。これをもってして、魚偏に占めると書いて鮎と読むのは、実に自然なことではないだろうか。新しい学説にならないかと密ひそかに期待している。
 閑話休題。数ある魚類の中で、姿形を似せて和菓子に設しつらえたのは、鯛と鮎だけではなかろうか。海の鯛、川の鮎は別格だということが、ここにも表れている。
 鯛は言うまでもなく鯛焼き。中にアンコをたっぷり含んだ鯛焼きは、流行歌にもなったほど親しまれ、手軽な駄菓子だが、鮎は〈若鮎〉と呼ばれ、品格という点では鯛焼きの遥はるか上を行く。
 カステラ風の生地で求ぎゅう肥ひ を包み、三日月形に整えて、目や鰭ひれを焼印で付けた菓子。一般的には〈調布〉と呼ばれる和菓子の一種。通年食べられる鯛焼きと違って、夏限定であるところも奥床しい。茶事とまではいかないまでも、気楽な茶席なら茶菓子としても通用するが、鯛焼きだとそ
うもいくまい。鯛と鮎は日本人に最もよく親しまれている魚ながら、両者には少なからず差異がある。
 話を戻して。鮎の漁法でもう一つ。忘れてならないのは鵜う 飼かいである。
 最もよく知られているのは岐阜の長良川。
 毎年5月11日から、10月15日まで、満月と増水時以外は毎夜行われる鵜飼。
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