時計界で究極を追い続けるリシャール・ミルが、そんなアスリートに魅了されたのは2008年。限界の先への情熱を持つ二人の男が出会い、2年後、RM 027が誕生した。「君と時計を作りたい」というリシャールからの提案に、ラファは最初、難色を示したという。わずか1gの重みがプレーに影響するテニス。事実、それまでラファの手首に時計がはめられたことはなかった。リシャールは2年後、重さを感じさせない軽さ、抜群の装着感、そしてタフな試合条件下でも精度を極める、前代未聞のトゥールビヨンウオッチを捧げた。この年、ラファはRM027を相棒に、全仏、全英、全米の三つのトーナメントを制覇。その後5年にわたり全仏の優勝杯を、リシャール・ミルの時計をはめて掲げ続けた。そして今年、新作RM27-03を腕に、3年ぶり10度目の優勝を果たし、生きた伝説になった。

ローラン・ギャロスは、自分のキャリアにとってなによりも大切な場所。と、10個目となる“ムスカテール・カップ”を抱きしめた。