

その美しさこそが
資産である
銀座SGC
資産である
銀座SGC
Photo Takehiro Hiramatsu(digni)P1 TONY TANIUCHI P2 Text Ichiko Minatoya
流動的な動きを続ける世界経済の中で、時代や国を超えた価値がある金は、資産としてより一層力強くなっている。それをいったいどんな形で保有するのか。延べ棒では味気ない。美しい工芸品として、見る人や使う人の心を癒やす金細工には、金銭的価値以上の値打ちがある。
京都の金閣寺、奥州平泉の中尊寺など、美しく金色に輝く寺に人々は引き付けられる。それは仏の圧倒的な力を感じさせ、極楽浄土の美しさを思わせるからだろう。かつて黄金の国・ジパングとして欧州の憧れをかき立てた日本には、こうした寺院建築はもちろん、さまざまな工芸作品にも、金細工、象眼、金箔や金粉などの高度な技が使われてきた。100年以上もの間、東京・浅草で仕事を続けてきた石川工房では、日本の伝統的な金細工の技を磨き、新たな創意工夫で作品を生み出し続けている。工房の3代目である石川光一氏はこの道約50年、日本でも数少ない金専門の工芸家である。
「金というのは古い工芸品がそのまま残っているというのが、なかなか少ない。というのも、時代によって素材の価値がなくなることがないので、権力者が代わると以前の権力者が持っていたものを潰して作り替えさせたり、貨幣に変えてしまったりするからです。焼き物のように壊れたら終わりではなく、自由に形が変えられるので、その時代時代を映して生き続けていきます」
「金というのは古い工芸品がそのまま残っているというのが、なかなか少ない。というのも、時代によって素材の価値がなくなることがないので、権力者が代わると以前の権力者が持っていたものを潰して作り替えさせたり、貨幣に変えてしまったりするからです。焼き物のように壊れたら終わりではなく、自由に形が変えられるので、その時代時代を映して生き続けていきます」