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変化の時、あるいは
DNAの再認識
SIHH2017
Photo Takehiro Hiramatsu(digni)
Text Yasushi Matsuami(本文)
Maki Kimura(時計)
新しい年の幕開けとともに、スイス時計業界はダイナミックに動き始める。今年も1月16日から20日にかけて、ジュネーブのエキシビションスペースであるパレクスポで、リシュモングループを中心とする新作発表会SIHH(通称ジュネーブサロン)が開催されたのに合わせ、ジュネーブの各所で新作発表会が催された。厳しかった昨年からの情勢を受け、時計業界はどう動くのか? 傾向や注目モデルを追っていこう。
2017年のジュネーブを語るキーワードは〝変化〞と〝原点回帰〞に集約されるかもしれない。まずは、エキシビションの概要をまとめながら、〝変化〞を追ってみたい。
 今年のSIHHには、昨年出展していたリシュモングループを始めとする15ブランドに加え、ケリンググループ入り後、バーゼルに発表の場を移していたジラール・ペルゴが5年ぶりに復帰。また同じくケリング傘下のユリス・ナルダンもバーゼルから移籍し初出展を果たした。MB&F、HYTなどハイエンドな独立系ブランドが顔をそろえる〝カレ・デ・オルロジェ〞と名付けられたスペースには、昨年9ブランドが参加したが、今年は13ブランドに拡大。出展ブランドは計30と、昨年を上回る規模となった。
 これまでSIHHは関係者やリテーラー、プレスなどの招待客だけが入場できたが、今年は最終日の1月20日が、一般客の受け入れ日となったことも目新しい点だった。入場料金は70スイスフラン。ハイエンドウオッチの世界を、いくらかフレンドリーに感じてもらおうという試みと映った。
 LVMHグループも、これまでとは違う動きを見せた。まず、ウブロ、ゼニス、タグ・ホイヤーの3ブランドが、レマン湖畔に係留されている豪華ボートを借り切り、パブリックエキシビションを開催。1月15日夜には、各国のプレスや関係者を招いてのカクテルパーティーも開催された。実は、このボートは、以前SIHHのアフターアワーズのパーティー会場となっていた場所。それだけに、リシュモンを意識したLVMHサイドからのメッセージのような印象を受けた人もいたかもしれない。
 ブルガリもフォーシーズンズホテル・デ・ベルグでプレ・バーゼルとして、新作をお披露目。LVMHにとっても、ジュネーブでのエキシビションの意義が拡大してきたと捉えることができるだろう。
 フランク ミュラー ウォッチランド グループは、これまで本拠地であるジュネーブ郊外のウォッチランドで新作を発表してきたが、今回はウォッチランドからほど近い場所に取得していたグランド・マラニーという広大な農園内の邸宅や家畜舎を改装した新スペースでエキシビションを開催した。将来的に、ここにウォッチランドの機能の一部を移す他、フランク ミュラー ウエディング用のスペースとして利用する計画もあるという。時計を軸としながら、テーブルウエアやアクセサリーなど、その世界観をライフスタイル全体に広げようとするフランク ミュラーの方向性が、この新スペースからも読み取れそうだ。
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