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(上・左から)
古今東西の多彩な料理本が並ぶ。諏訪家は近隣町民が「ワインのことなら諏訪さんに聞け」などと口をそろえる“ 食通一家” だ。
料理本が発行されるようになったのは40 年ほど前のこと。悠久堂はその流行の兆しをいち早くキャッチして充実化を図ってきた。
辻調理師専門学校の創設者・辻静雄著『フランス料理大全』の一ページ。フランス語の下に日本語訳がついている。
(中・左から)
辻静雄の著書『フランス料理大全』以降、日本に料理本のジャンルが構築された。写真の本は1977(昭和52)年の刊行。
料理の文化的側面に焦点を当てた本も豊富。ネット情報だけではなかなか手に入らない世界がそこにはある。
料理には流行がある。「今は日本料理にブーム的なものがきてるかな」と諏訪氏。
(下・左から)
プロの料理人も集う悠久堂書店。細分化されたジャンルの専門書や、伝統ある料理店の全てを伝える豪華本なども豊富。
食はエッセイのような“ 読み物” としても面白い。食通たちの著書にも注目したい。
椀盛(わんもり)、向附(むこうづけ)、八寸・口取といった本格的な日本料理の本のほか、包丁の使い方といった内容のものも並ぶ。
これら3店もそうだが、神保町の古書店に後継ぎ問題の悩みはなさそうだ。きっと「自分の好きな本を深掘りしていく」スタイルのビジネスに魅力があるからだろう。書店主たちが自ら「教養が人生を豊かにする」ことを体現しているかのようだ。
 丸一日、神保町を歩き回って、改めて「この町は変わらないなぁ」としみじみ感じた。古書店だけではなく、昔ながらの喫茶店やカレー屋、中華料理店、洋菓子店など、知的刺激に疲れたときのオアシスが残るのも、独自の価値観で時代を積み重ねてきたこの町であればこそのことだろう。
 これからも神保町は日本人の教養の聖地として栄え、今は薄れてきた日本人の〝教養熱〞を再燃させる原動力となってくれるに違いない。

●悠久堂書店
東京都千代田区神田神保町1-3 TEL03-3291-0773
営業時間10:15~18:45(祝日10:45~18:15) 日曜定休
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