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うっそうとした御嶽林に抱かれて鎮座する赤崎御嶽。祭神は大世の主。耕作万穀、五穀豊穣を司る神である。下地地域の根所として昔から島の信仰が深く、毎年3回、例祭が行われる。
宮古島誕生
Photo Satoru Seki Text Junko Chiba
宮古島は12万~15万年前にサンゴ礁が隆起してできた島である。
以来この島は、同じ沖縄県でも約300㎞離れた沖縄本島とは全く異なる特異な生態系を持ち、その中で独自の風習、文化を紡いできた。
今に色濃く残るその誕生の風景を、聖地・御嶽(うたき)を主な手がかりにたどりたい。
宮古島と沖縄本島の間には、距離以上の大きな隔たりがある。私たちはつい、両島を沖縄県にある大きな島として同じように見て、どちらかというと琉球王国を築いた沖縄本島の中に宮古島を埋没させてしまいがちだが、実際には「別の国」といってもいい。宮古島は琉球王国の支配下になってもなお、「孤高の島」として生きてきたのである。

沖縄本島とは異なる生態系
 第一に、地勢が違う。宮古島は島全体が低い丘陵地で、森林は海岸性のものがわずかにあるだけだ。また地質が、サンゴ礁が発達してできた、多くの間隙があって水を通しやすい琉球石灰岩であるため、地下水はたっぷり蓄えているが、地表を流れる大きな川はない。一方、沖縄本島は中南部こそ似ているものの、北部は400mほどの低い山が続き、山原(やんばる)と呼ばれる森林に覆われている。川だって流れている。
 となれば当然、生態系が同じであるはずはない。加えて宮古島は、約1万5000年前の最終氷河期に海水が増して、半分くらい海に沈んだ時期があったとされている。それ以降は他の島と陸続きになることがなかったせいか、ハブのいない島でもある。固有種が豊富とまではいかないにせよ、ミヤココキクガシラコウモリ、ミヤコカナヘビ、ミヤコサワガニ、ミヤコジマソウ、ミヤコジマハナワラビなど、島名の付く生き物がけっこういる。
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