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フェリックス・ヴァロットン 《日没、ヴィレルヴィル》 1917年
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モネ晩年の大作とスイス画家の作品群
 展覧会の最大の目玉は、モネ晩年の作品《睡蓮の池、夕暮れ》。幅6メートルにおよぶ大作で、前に立つと視界を作品が埋め尽くす。モネが見た夕暮れのはかなくも強い色彩と、それを映す水面の輝きをその場で感じているような臨場感を体験できるのが魅力。この1点のためだけにでも訪れる価値のある名作だ。
 このモネの部屋を含む「巨匠の部屋」の最初では、アルプスのふもとに住み、山々の絵を多く残したイタリア、スイスを代表する画家ジョヴァンニ・セガンティーニの作品を鑑賞できる。セガンティーニは、色をあまり混ぜない純粋色を、無数のタッチで並べていく独自の色彩分割技法を用いた画家。泉に映った自分の姿に見とれる少女と、泉の中から少女を見つめる怪物を描いた《虚栄(ヴァニタス)》は、19世紀末のヨーロッパに起こった象徴主義を代表する作品の一つだ。同じく象徴主義では、スイス・ベルン生まれの画家、フェルディナント・ホドラーの《真実、第二ヴァージョン》も見どころ。「真実」を象徴する裸体の女性と、その周囲に真実から顔を背けて立つ、「悪」を象徴する男性たち。左右対称の構図は、ホドラーが提唱した、類似する形態の反復によって秩序を生み出す「パラレリズム(平行主義)」の表現手法だ。セガンティーニ、ホドラーは、ともにチューリヒ美術館が世界屈指のコレクションを誇る画家であり、それぞれ充実した作品群が特集されている。
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