
ナポリのオノフリオ・デッラ・カヴァが1438年につくった大噴水。1667年の大地震で装飾の多くは失われたが、16個のレリーフは姿をとどめ、現在もその口から噴出を続けている。

Key Resort of Croatia
Vol.1
Vol.1
Photo Masahiro Goda Text Shun Kambe
紺碧の空と翠玉の海。カズラの花が漂わせる甘いまどろみ。もし、この地球上にユートピアが存在するならば、そこはきっとそんなイメージに違いない。15 年前まで、過去の伝説でのみ語られていた幻のユートピアが再び地球上に戻ってきた。『アドリア海の真珠』ドゥブロブニクの楽園伝説は今、新しい章の幕を開ける。
ドゥブロブニク 今開かれるアドリア海の宝石箱
今日のクロアチアを示す地図を広げてみると、ダルマチア地方(=ドゥブロブニク近郊)が、本土から隔たった飛び地であることが確認できる。しかもアドリア海沿岸部に細長く延びた奇妙な国境線だ。飛び地とはたいがいの場合、その歴史や文化に複雑な経緯を内包する蟲惑的な地域である。ドゥブロブニクもその例に漏れず、いや、そうした蟲惑の筆頭ともいえるだけのスケールを誇る。風光明媚というだけでは語れないドゥブロブニク観光は、その歴史を紐解くことで魅力の真骨頂をのぞかせる。