
(左)コスモポリタンなタヒチにはフランスだけでなく、米国の文化も入り込んでいる。フランス語だけでなく、英語もかなり通じるのはそのためだろう。
(右)街の中心部からすぐの場所にも、地元の人々の住居が立ち並び、その生活を垣間見ることができる。
(右)街の中心部からすぐの場所にも、地元の人々の住居が立ち並び、その生活を垣間見ることができる。
19 世紀末、タヒチにワイルドな楽園を夢見てパペーテに到着した、フランス印象派の巨匠ポール・ゴーギャンは「これではまるでヨーロッパと変わらない」と落胆したという。
現在、パペーテの中心部は、港に沿ってゆるやかな弧を描くポマレ大通りがメインストリートで、高層ビルはなく、こぢんまりとした造りの町だ。南洋の樹木や花が溢れ、コロニアル時代をしのばせる街並みにはカフェが並び、どことなくフランスの風情が漂う。タヒチのビジネス街でもあるのだが、スーツ姿の人はほとんど見かけない。鮮やかなパレオを纏った女性や、褐色の肌をポリネシア模様の刺青で飾る男性が行きかう。
メラネシア、中国、そして、ヨーロッパと混血を重ねたせいか、美しい男女が多い。人懐こい笑顔、のびやかな四肢。そして、男女問わずさりげなく髪に挿した白いティアレ(くちなしの花)。タヒチにはこの甘美な匂いがそこはかとなく漂う。「ひと度この花の香りを嗅いだものは、再びタヒチに帰ってくる…」。旅を好んだ英国の小説家サマセット・モームは、『月と六ペンス』で、自らの願いをこめて、そう記している。
現在、パペーテの中心部は、港に沿ってゆるやかな弧を描くポマレ大通りがメインストリートで、高層ビルはなく、こぢんまりとした造りの町だ。南洋の樹木や花が溢れ、コロニアル時代をしのばせる街並みにはカフェが並び、どことなくフランスの風情が漂う。タヒチのビジネス街でもあるのだが、スーツ姿の人はほとんど見かけない。鮮やかなパレオを纏った女性や、褐色の肌をポリネシア模様の刺青で飾る男性が行きかう。
メラネシア、中国、そして、ヨーロッパと混血を重ねたせいか、美しい男女が多い。人懐こい笑顔、のびやかな四肢。そして、男女問わずさりげなく髪に挿した白いティアレ(くちなしの花)。タヒチにはこの甘美な匂いがそこはかとなく漂う。「ひと度この花の香りを嗅いだものは、再びタヒチに帰ってくる…」。旅を好んだ英国の小説家サマセット・モームは、『月と六ペンス』で、自らの願いをこめて、そう記している。