PAGE...9|10|11|12|13|14|15
なりた・かずとし
1967年青森県生まれ。1999年より、パリの一つ星レストラン「ステラ マリス」、イタリア・フィレンツェの三つ星レストラン「エノテカ・ピンキオーリ」でシェフパティシエを務め、2001年にピエール・エルメ日本店舗のシェフに就任。その後、「レストラン タテル ヨシノ」、「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」を経て、2006年にニューヨーク「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」のシェフパティシエとして渡米、2009年には台湾の同店エグゼクティブシェフパティシエに。2012年に帰国、エスキスのシェフ・パティシエに就任した。
(左)菓子の色付けに使う水性粉末色素(フランス製)。右の茶色の粉末を水に溶かすと鮮やかなグリーンに、オレンジ色のものはレモンイエローになる。普段からマカロンなどの着色用に、20色くらい用意している。(右)日本で砂糖菓子を作る場合、耐湿性が高く、湿度の影響を受けにくい「還元パラチノース」を使う。また煮詰めて高温にしていくと、160℃になっても透明で硬くなりにくい点も扱いやすいという。
作り方? それはね、お砂糖を煮詰めて、べっこうあめのようなペースト状にしたものを、ゆっくり冷ましながら粘土のようにもんじゃうんです。そうすると冷めにくく、かつ容易に膨らますことができるようになる。ペーストにポンプをつけ、中に空気を入れて膨らませながら、一体感のある形に作り直す感じ。最初に目のセンサーを刺激して『実はこれ、食べ物なんですよ』と驚かせ、さらに口に入れておいしさを味わっていただく。そういう趣向です。
 今回の鮎のお菓子には、日本人が昔からおいしいと食べてきた鮎の美しい姿と、綿菓子やべっこうあめなどのお砂糖の甘さと、二つの“おいしい記憶"にアプローチしました」
 成田は実は「砂糖菓子に失敗した時に備えて」、もう一つの鮎菓子を考案していた。それは二者択一で迷った「味で鮎にする」試みだ。
「リオネルが鮎の内包するさまざまな要素を異なるテクニックで引き出して再構築した料理の、香りや味覚をそのまま映したお菓子にしようと考えました。使った素材はグレープフルーツ。塩・酸・甘・苦が交じり合ってうまみが構成されるように、全く別の料理でも一つの素材の持つさまざまな要素を分解、再構築すると、おいしいの印象を共有できるんです。そこを狙いました」
 こちらの鮎のデザートはメニューにする予定。その日を楽しみにしたい。
PAGE...9|10|11|12|13|14|15
LINK
GOURMET
鮎往復還 虎白
>>2015.7.29 update
GOURMET
神田裕行 真味只是淡 第十五回
>>2015.11.16 update
GOURMET
今年も、鮎です
>>2015.7.10 update
GOURMET
神田裕行の椀五十選 最終回
>>2013.12.8 update
GOURMET
確信が“革新”への 一歩に
>>2009.1.9 update

記事カテゴリー