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海面から天を突く大鳥居。約 60 トンの自らの重みだけで建つ。周囲約 10m の支柱はクスの自然木。8 代目に当たる現在の鳥居建立に際して、巨木探しに 20 年近い歳月を費やしたという。扁額は有栖川熾仁親王の染筆。
DISCOVER SETOUCHI Vol.2
Photo Masahiro Goda Text Junko Chiba
嚴島神社
平安の雅を映す社殿に鎮まる海の神様・宗像三女神
「観音様の寝姿」と形容される島影。霊気漂う主峰・弥山の山容。宮島航路を進むフェリーから宮島を眺めると、ここが古来「神の島」と崇められ、人が家を建てて住み、田畑を耕し、漁をすることを禁じた神域であったことを彷彿とする。
 この神域に嚴島神社が創建されたのは、推古元( 593 )年。佐伯部の有力者、佐伯鞍職が神託を得て市杵島姫・湍津姫・田心姫の宗像三女神の御殿を造営したのが始まりとされる。その後、今日見られる荘厳華麗な海上社殿となったのは、平安時代後期のこと。安芸守に任ぜられ、厳島神社を崇敬した平清盛が、瀬戸内海の制海権を握って得た巨万の富を惜しみなく注いだという。当時の姿を今に忠実に伝える社殿は、平安貴族が好んで住居に用いた寝殿造。瀬戸内海を池に見立てるという壮大な発想の下で、平安の雅を映す建築美を現出させた。「浄土信仰に基づいて極楽浄土を表している」との説もある。海に潮が満ちると、廻廊で結ばれた朱塗りの社殿群があたかも海に浮かんでいるよう。社殿群が、潮の干満で姿を変える、世界に類のない「海辺の聖地」である。
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