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(上)「幻の小津山荘」とも言われている「山内山荘」。蓼科では小津がいたころから、あえて別荘ではなく、山荘と呼ぶ。(下左)「一本桜」のあるこの丘を、小津らは「信州大学の丘」と呼んでいたそうだ。正面に美しい蓼科山が望める。(下右)小津安二郎監督。蓼科の仕事場ではいつもこんなに穏やかな表情をしていたそうだ。
幻の「小津山荘」
とにかく蓼科での生活が気に入った小津は、自分の山荘を建てようと考え始める。土地を見つけ、地元の新進気鋭の大工・帯川康成に建設を依頼し、材木を手配。後はもう完成を待つだけだけ…そんな矢先に病に倒れ、後ろ髪を引かれる思いで東京へ戻って即座に入院。そして、再び蓼科の土を踏むことなく、帰らぬ人となった。
 実はこの山荘、その後小津の構想通りに建てられ、今も蓼科にある。野田の長女・玲子と結婚した脚本家・山内久の「山内山荘」だ。小津と野田の仕事を手伝っていた玲子が、小津の遺志を継いだと考えられている。
 小津生誕110年、没後50年、野田生誕120年という節目に当たる今年、小津と野田がよく歩いた散歩コースが、約4㎞の「小津の散歩道」として整備された。小津が立ち寄った「一本桜」の丘を通り、映画人たちの山荘を見つけ、蓼科の自然を肌で感じることができる。小津が踏んだ土の道も、耳にした鳥たちの鳴き声も、出会った地元の人々も、今も同じように蓼科にはあるのだ。緑に包まれ、心癒やされるこの道は、ふらっと歩きにまた出掛けたくなる、そんな気分にさせる散歩道である。

●茅野市役所 産業経済部観光課
TEL:0266-72-2101
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