象彦に眠る宮廷の雅
誕生以来千年にわたって愛されてきた源氏物語は、美術工芸史においても異彩を放つ題材だ。1661(寛文元)年創業の京漆器の老舗・象彦には、デザイン化された蒔絵によって源氏物語の雅をよみがえらせた逸品が多数眠っている。硯箱、小箱、喰籠、香合、香炉……宮廷の日常を美しく彩る漆器はどれも、風情のある源氏物語の世界を現出させる。
「京の都は古来、宗教の中心地として、また茶道や華道を始めとする文化の中心地として栄えました。とりわけ宮廷と神社仏閣の存在感は大きく、全てにおいて『最高』が求められたんですね。その中で象彦は、宮中や京都迎賓館の御用を務め、近年は三井家などの旧財閥の依頼を受けて、350年余にわたって蒔絵の技術を磨いてきました。
一方で、高度な技術や美しいデザインの品々の収集もしています。職人の手本として売らずに残したものとか、中には買い戻した品もあるんですよ。そういうコレクションの中に、源氏物語を題材にした作品が多くあります。宮廷の雅を表現する題材としてはやはり強烈な魅力がありますから。実は今も5年に1度、源氏物語を題材に3年掛かりで制作する逸品を発表しています」(象彦15代・西村毅社長)
象彦はいつの時代も「百年先のアンティークをつくる」気概で京蒔絵に取り組んでいる。
誕生以来千年にわたって愛されてきた源氏物語は、美術工芸史においても異彩を放つ題材だ。1661(寛文元)年創業の京漆器の老舗・象彦には、デザイン化された蒔絵によって源氏物語の雅をよみがえらせた逸品が多数眠っている。硯箱、小箱、喰籠、香合、香炉……宮廷の日常を美しく彩る漆器はどれも、風情のある源氏物語の世界を現出させる。
「京の都は古来、宗教の中心地として、また茶道や華道を始めとする文化の中心地として栄えました。とりわけ宮廷と神社仏閣の存在感は大きく、全てにおいて『最高』が求められたんですね。その中で象彦は、宮中や京都迎賓館の御用を務め、近年は三井家などの旧財閥の依頼を受けて、350年余にわたって蒔絵の技術を磨いてきました。
一方で、高度な技術や美しいデザインの品々の収集もしています。職人の手本として売らずに残したものとか、中には買い戻した品もあるんですよ。そういうコレクションの中に、源氏物語を題材にした作品が多くあります。宮廷の雅を表現する題材としてはやはり強烈な魅力がありますから。実は今も5年に1度、源氏物語を題材に3年掛かりで制作する逸品を発表しています」(象彦15代・西村毅社長)
象彦はいつの時代も「百年先のアンティークをつくる」気概で京蒔絵に取り組んでいる。

源氏物語錦織絵巻
光源氏亡き後の次代の物語「源氏物語第三部の竹河(二)」の場面。『伊太郎源氏』は徳川美術館所蔵の3巻と、五島美術館所蔵の1巻の復元許可を得て、制作をスタートさせた。
紫紘
京都市上京区大宮寺ノ内上ル西入東千本町411
TEL075-415-1717 www.itaro-genji.com
光源氏亡き後の次代の物語「源氏物語第三部の竹河(二)」の場面。『伊太郎源氏』は徳川美術館所蔵の3巻と、五島美術館所蔵の1巻の復元許可を得て、制作をスタートさせた。
紫紘
京都市上京区大宮寺ノ内上ル西入東千本町411
TEL075-415-1717 www.itaro-genji.com