

「一難去って」米・日
株価は戻り歩調を
たどり始める
株価は戻り歩調を
たどり始める
田嶋智太郎 経済アナリスト
今年1月の株式相場は大荒れの展開を余儀なくされた。日経平均株価は1月5日につけた年初来(執筆時)の高値から27日につけた年初来の安値まで11%あまりもの下落を見る羽目になったのだ。
周知のとおり、その最大の要因は米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策正常化の動きが想定以に“タカ派的"なものになるとの警戒が市場全体に広がったことにある。年明け5日に公開された12月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が、思っていた以上にタカ派寄りだったことが発端となった。
それからは、市場の関心が1月25日から26日に開催される今年最初のFOMCへと一気に向かう。むろん、事前にはさまざまな思惑やうわさが市場で飛び交った。往々にして、市場の懸念や不安というものは極端なまでに行き過ぎる。よって、事前に「FOMCを通過すれば相場はアク抜けして急反発する」と見通す向きも少なくなかった。
ところが、実際にはFOMCを通過した後、事態が一層悪化するという一幕があった。想定外であったのは、FRBのパウエル議長がFOMC後の記者会見の場で市場との「対話」をいったん放棄したと見られても仕方がないほどタカ派的な一言を発した点にある。それは「年内に予定されるFOMCの残り7回すべてで利上げの実施の決定を下す可能性が十分にある」という印象を市場に与えた。
今秋に中間選挙を控え、米大統領は何としてでも目の前のインフレ高進に歯止めをかけようとする強い姿勢を
国民に示したい。FRB議長は、そんな米大統領の思いに寄り添うことの方を優先し、市場との「対話」をないがしろにしていると市場は受け取ったのだろう。
実際、米ゴールドマン・サックスのウォルドロン社長兼最高執行責任者も、ここにきて異例のFRB批判を痛烈展開している。同氏いわく「金融当局の独立性は損なわれ、市場からの信認は失われた」。金融当局としてあるべき対応を求められるFRB議長が、米大統領と共に世論におもねるという大衆迎合的な姿勢をあらわにしていることを考えれば、ウォルドロン氏の舌鋒鋭い指摘もごもっともである。
周知のとおり、その最大の要因は米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策正常化の動きが想定以に“タカ派的"なものになるとの警戒が市場全体に広がったことにある。年明け5日に公開された12月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が、思っていた以上にタカ派寄りだったことが発端となった。
それからは、市場の関心が1月25日から26日に開催される今年最初のFOMCへと一気に向かう。むろん、事前にはさまざまな思惑やうわさが市場で飛び交った。往々にして、市場の懸念や不安というものは極端なまでに行き過ぎる。よって、事前に「FOMCを通過すれば相場はアク抜けして急反発する」と見通す向きも少なくなかった。
ところが、実際にはFOMCを通過した後、事態が一層悪化するという一幕があった。想定外であったのは、FRBのパウエル議長がFOMC後の記者会見の場で市場との「対話」をいったん放棄したと見られても仕方がないほどタカ派的な一言を発した点にある。それは「年内に予定されるFOMCの残り7回すべてで利上げの実施の決定を下す可能性が十分にある」という印象を市場に与えた。
今秋に中間選挙を控え、米大統領は何としてでも目の前のインフレ高進に歯止めをかけようとする強い姿勢を
国民に示したい。FRB議長は、そんな米大統領の思いに寄り添うことの方を優先し、市場との「対話」をないがしろにしていると市場は受け取ったのだろう。
実際、米ゴールドマン・サックスのウォルドロン社長兼最高執行責任者も、ここにきて異例のFRB批判を痛烈展開している。同氏いわく「金融当局の独立性は損なわれ、市場からの信認は失われた」。金融当局としてあるべき対応を求められるFRB議長が、米大統領と共に世論におもねるという大衆迎合的な姿勢をあらわにしていることを考えれば、ウォルドロン氏の舌鋒鋭い指摘もごもっともである。