PAGE...1|2
今のところ、日経平均株価は3万円の大台を前に足踏みする状態を続けているが、それは海外投資家が昨秋から日本株に対して及び腰の姿勢を続けていることも要因として大きい。実際、昨年11月2週から12月3週まで、海外投資家は日本の現物株を1兆3千億円近くも売り越した。岸田首相が「金融所得課税」や「企業の自社株買い」などの話題に言及したことを嫌気したと見る向きもあるが、いたずらに話題だけが先行したとの感があることも否めない。
 いずれにせよ、海外投資家は昨年末に向けて日本株のウエイトを大きく落とした。ということは、逆に年明け以降は再びウエイトを一定水準まで高めてくるとの期待にもつながる。
 そもそも、日本には「グローバルニッチトップ」を誇る上場企業が各方面に数多く存在しており、世界的な「デジタル化&カーボンニュートラル」の時代の潮流にしっかりと乗る企業も少なくない。そうした企業の市場での評価はいまだに不十分であると言っていい。それは、昨年まで米国の「GAFAM」を中心とした一部のプラットフォーム企業に投資資金が過度に集中していたためでもあると見られる。しかし、そうした流れも次第に変化する可能性が高い。
 例えば、パワー半導体や半導体パッケージ基板、水素発電、次世代二次電池など、まさに「ニッポンのお家芸」と言えるような分野で世界中からの引き合いが絶えない企業の評価は、むしろ市場でこれから本格的に高まると考えていいだろう。
(左)THIS MONTH RECOMMEND・半導体の視点から眺めれば国際政治の深層が見えてくる
世界の国々が覇権を競い合う国際政治のゲームを、半導体を通して眺めた一冊。いまや半導体は「産業のコメ」などではなく、国家の安全保障を左右する「戦略物資」としての価値を急速に高めている。まさに、半導体を制する者が世界を制する─と言っても過言ではない状況下で、米中をはじめ世界の国々・地域は今どのように半導体と向き合っているのか。政官学産の連携で経済安全保障の体制確立を目指す日本の挑戦にも大いに注目したい。
『2030 半導体の地政学 戦略物資を支配するのは誰か』太田泰彦/日本経済新聞出版/1,980円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。tomotaro-t.jimdo.
PAGE...1|2
LINK
STYLE
日本株は早晩、出遅れ修正の局面へ
>>2021.8.26 update
STYLE
金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト 相場全体に強気の風が吹いてきた!
>>2017.7.20 update
STYLE
金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト
>>2017.4.13 update
STYLE
時代を読む――原田武夫 第64回
>>2018.7.22 update
STYLE
「ワクチン相場」のなかでも一部に光るニッポンの技術
>>2021.5.21 update

記事カテゴリー