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関連企業の代表格と言えるのは三菱重工業で、グループ企業の三菱重工エンジニアリングはCO₂ 回収技術における世界のリーディングカンパニーとして名をはせる。燃料排ガスから高効率でCO₂ を回収する技術を商用化しており、すでに北米やアジア、中東など世界で複数の実績を挙げている。
 また、日立造船はごみ焼却場から排出されるCO₂ を再生可能エネルギー由来のグリーン水素と反応させて、天然ガスの代替となるメタンを製造(メタネーション)するCCUSの技術を有する。このメタンは発電に用いられて電力として再利用される。言わば、この仕組みはCO₂ の資源化による炭素循環モデルということになる。
 ほかに、ごみ処理施設から排出されるCO₂ とグリーン水素から生成されるシンガスと呼ばれる合成ガスを微生物触媒の力でエタノールに転換し、このエタノールからプラスチックなどの有機化学素材を製造する積水化学工業や住友化学などの技術も大いに注目されるところとなっている。なお、グリーン水素については今のところ、まだ研究・開発の黎明期にあると言え、関連する企業が水素事業を目先の利益に結び付けるのは難しいと見られている。むろん、燃料として利用したときにCO₂ を排出しない水素が将来有望な二次エネルギーであることは言をまたず、少し長い目で関連する企業の動向を見守っていくことが肝心であると心得ておきたい。
(左)THIS MONTH RECOMMEND・気候変動対応のために求められる企業の事業変革とは?
本書は、企業経営の目線から気候変動問題を論じている数少ない良書と言える。いまや企業の事業環境としての脱炭素化に向かうモメンタムは高まるばかり。地球環境に配慮した経営を行うことは投融資を受けるために不可欠とさえ言われる。そんな時代にあってもしっかり稼ぐ戦略を構築し、気候変動リスクに強い企業になるための方法とは。米アップルやマイクロソフトなどの実例も交え、多くの手掛かりやヒントを与えてくれる一冊である。
『カーボンZERO 気候変動経営』EYストラテジー・アンド・コンサルティング/日本経済新聞出版/3,080円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。tomotaro-t.jimdo.
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