


(上)ピンクの岩が印象的なラヴヴァレーはハイキング可。(中)「アルゴス・イン・カッパドキア」の屋内プール付きスイート、右手階段の上がベッドルーム。(下)モダンな要素を違和感なく取り入れたバスルーム。
イリカリ氏の、この遺跡を周囲の町の一部になれるような、環境に溶け込んだ高級ホテルに変身させたいという相談を、躊躇することなく引き請けたのは、2009年に他界したトルコのデザイン指導者兼、建築の巨匠トゥルグト・ジャンセベル(Turgut Cansever)。見事な完成度で実現されたそのコンセプトのおかげで、外から見るかぎり、どこからどこまでがホテルなのかもわからないほど。けれど、個性を活かしたインテリアは、元々あったものと新たに造られたものがはっきりとわかるデザインになっている。その良い例がごくモダンなバスルーム。どこに現代要素が必要とされたかを率直に提示するということも、同ホテルのデザイン条件のひとつだったそう。「シンプルでありながら、心地のよい空間を目指しました」とコメントするのは、2010年からプロジェクトの主任を務めている修復建築士アリ・オズバイ(Ali Özbay)氏。「落ち着きと控えめな品を大切にしたいと心がけているんです」