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米金利強含みで
ドルの底堅さも
当面は持続する⁉

田嶋智太郎 経済アナリスト
執筆時の市場で最も関心を集めている話題の一つは、米債利回りの急激な上昇である。今年の年明け以降、米10年債利回りは急激に上昇ピッチを速めており、一時は1.6%台まで上昇する場面もあった。市場の一部には、足元の米債利回り上昇について「少々行き過ぎではないか」との見方もある。あまりに先走ると、米金利急上昇の悪影響がまずは株価に及び、ひいては逆資産効果によって実体経済を悪化させる懸念が高まるというわけだ。
 もともと、米株価には目先的な高値警戒感というものが以前から根強くある。よって、いったんは少々まとまった調整を交える場面があってもおかしくはないが、それはあくまで当然の調整であり、安易に米債利回りの上昇と決めつけるのはナンセンスと言える。なにしろ、米債利回りが急上昇したとはいえ、いまだコロナ・ショック以前の水準にすら達していないのである。要は、パンデミックで過度に低下した米債利回りが徐々に戻ってきているだけなのだ。
 むろん、この段階で米連邦準備制度理事会(FRB)による緩和政策の打ち止めを懸念するなどというのは時期尚早に過ぎる。バイデン米大統領によれば「米国民が集団免疫を獲得するのは今秋以降になりそう」とのことであり、明るい方向性は見えてきているものの、それなりに時間のかかる話でもある。
 ともあれ、今後も趨勢(すうせい)的な米債利回りの上昇は緩やかに続くものと見られ、その点が足元のドルを下支えしていることも事実である。むろん、いずれは少々行き過ぎた感のある米債利回りの上昇ピッチが鈍っていったんは反動が生じる可能性もあろう。それでもドル/円の下値はおのずと限られると見る。それは、年初来のドル/円の上昇はクロス円の強い動きによるところも多分にあるからだ。
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