


1 強風と豪雨という厳しい環境で育つ焼尻島の樹木は奇妙なカタチをしている。
その一部は天高く伸びずに、上から押しつぶされたように枝が横に広がり、風圧に押されたかのように風下に傾いたまま成長する。
日本海の強く激しい季節風や雪の重みによるものだといわれる。
2 この島の人口は約300人。
一方、羊はその倍の約600頭が焼尻めん羊牧場で暮らす。
周囲12km四方を海に囲まれているため、蛇や狐などの天敵がおらず、
春から秋までの昼夜ともに、大自然の中で放牧している。
群れになって動き、強い風をお互いで防ぎ合いながら眠る。
3 焼尻島でめん羊を育てて35年、サフォークひと筋の大井公世さん。
約600頭の羊を息子の公彦さんと二人で世話する。
冬場に食べる干草づくりや、仔羊の出荷と大忙しだ。
その一部は天高く伸びずに、上から押しつぶされたように枝が横に広がり、風圧に押されたかのように風下に傾いたまま成長する。
日本海の強く激しい季節風や雪の重みによるものだといわれる。
2 この島の人口は約300人。
一方、羊はその倍の約600頭が焼尻めん羊牧場で暮らす。
周囲12km四方を海に囲まれているため、蛇や狐などの天敵がおらず、
春から秋までの昼夜ともに、大自然の中で放牧している。
群れになって動き、強い風をお互いで防ぎ合いながら眠る。
3 焼尻島でめん羊を育てて35年、サフォークひと筋の大井公世さん。
約600頭の羊を息子の公彦さんと二人で世話する。
冬場に食べる干草づくりや、仔羊の出荷と大忙しだ。
北海道産ラムは“幻の肉"?
ここ数年、ジンギスカンがちょっとしたブームである。羊肉に含まれるL-カルニチンが脂肪を燃焼させる、不飽和脂肪酸がコレステロールを下げるなど、ダイエットと健康によいと注目されたからだ。しかし、美食家を自認する日本人として、成分や効能に注目するだけで、羊肉、とりわけ生後12ヶ月未満のラムのおいしさを知らないのではと疑いたくなる。もっとも、日本では、なかなかラムを食する機会がない。その原因の一つは、国内で食される羊肉の99%が輸入されていることにある。冷凍もしくはチルドの状態で入ってくる羊肉は、流通に乗るまでにさまざまな処理を要する。その過程でどうしたって風味や品質が落ちる。そういう羊肉が、ジンギスカンの本場、北海道でも大半を占めているのだ。
わずかとはいえ、北海道ではちゃんと、うまいラムを生産している。日本で唯一、羊文化を根付かせ、ジンギスカンを郷土料理にまで育てた北海道では、浮沈激しい羊産業の約60年の歴史の中で、品質本位の高級ラムづくりに対する情熱が受け継がれている。干草と穀物で雑穀肥育する羊肉はほどよく脂が乗り、草の臭いが少ないマイルドな味わい。何より、地場産ならではの新鮮さがある。
残念なのは、極上のうまさを誇る北海道産ラムが今や希少になっていることだ。羊産業はどう未来を切り開いていくのか。曲がり角に立っている今、「日本の羊」を考えたい。
北海道では、羊に対する熱い想いが受け継がれている。その言葉通り、道内には羊に懸ける男たちがいる。
ここ数年、ジンギスカンがちょっとしたブームである。羊肉に含まれるL-カルニチンが脂肪を燃焼させる、不飽和脂肪酸がコレステロールを下げるなど、ダイエットと健康によいと注目されたからだ。しかし、美食家を自認する日本人として、成分や効能に注目するだけで、羊肉、とりわけ生後12ヶ月未満のラムのおいしさを知らないのではと疑いたくなる。もっとも、日本では、なかなかラムを食する機会がない。その原因の一つは、国内で食される羊肉の99%が輸入されていることにある。冷凍もしくはチルドの状態で入ってくる羊肉は、流通に乗るまでにさまざまな処理を要する。その過程でどうしたって風味や品質が落ちる。そういう羊肉が、ジンギスカンの本場、北海道でも大半を占めているのだ。
わずかとはいえ、北海道ではちゃんと、うまいラムを生産している。日本で唯一、羊文化を根付かせ、ジンギスカンを郷土料理にまで育てた北海道では、浮沈激しい羊産業の約60年の歴史の中で、品質本位の高級ラムづくりに対する情熱が受け継がれている。干草と穀物で雑穀肥育する羊肉はほどよく脂が乗り、草の臭いが少ないマイルドな味わい。何より、地場産ならではの新鮮さがある。
残念なのは、極上のうまさを誇る北海道産ラムが今や希少になっていることだ。羊産業はどう未来を切り開いていくのか。曲がり角に立っている今、「日本の羊」を考えたい。
北海道では、羊に対する熱い想いが受け継がれている。その言葉通り、道内には羊に懸ける男たちがいる。