

感染症の拡大が続く中にも希望の光はある!
田嶋智太郎 経済アナリスト
いま、世界を震撼させているコロナ・ショックの影響と金融相場の行方について、あの「リーマン・ショック」とその後の状況、あるいは遥か昔の「世界大恐慌」とその後の状況などを一つの参考に考えてみるのも一法とする向きが一部にある。しかし、それは「あまり適切とは言えない」と思われる。
実際、世界経済が恐慌状態に陥る前の段階で生じるはずであるところの過度な「信用収縮」などは執筆時点で見られていない。金融市場の動揺ぶりを示す「TEDスプレッド(米国債利回りとドル金利の差)」が多少なりとも上昇する場面はあったものの、そのレベルは「サブプライム問題の表面化後」や「リーマン・ショック後」などとは比べものにならないほど低い。
先に、ベン・バーナンキ元FRB議長は米CNBCのインタビューに応えて「ウイルス感染と世界恐慌とを比較して考えるのは間違っている」、「世界恐慌は人為的なものだが、ウイルスは自然災害のようなものである」と述べていた。筆者もまったく同感である。
そうであるとするならば、今後を見据えるうえでの参考となり得るのは、むしろ2002年から03年にかけて世界で猛威を振るった「重症急性呼吸器症候群(SARS)」の事例がその一つということになるだろう。
ここであらためて当時の状況を紐解くと、SARSは02年11月に中国で集団感染が表面化し、その後は徐々に感染が世界的に拡大して、翌03年3月に世界保健機関(WHO)が「注意喚起」に踏み切ることとした。この間(約4カ月間)、世界の株価は下がり続けたわけだが、WHOから注意喚起がなされた時点をボトムに、その後は相当な勢いで上昇を続けることとなったのである。
実際、世界経済が恐慌状態に陥る前の段階で生じるはずであるところの過度な「信用収縮」などは執筆時点で見られていない。金融市場の動揺ぶりを示す「TEDスプレッド(米国債利回りとドル金利の差)」が多少なりとも上昇する場面はあったものの、そのレベルは「サブプライム問題の表面化後」や「リーマン・ショック後」などとは比べものにならないほど低い。
先に、ベン・バーナンキ元FRB議長は米CNBCのインタビューに応えて「ウイルス感染と世界恐慌とを比較して考えるのは間違っている」、「世界恐慌は人為的なものだが、ウイルスは自然災害のようなものである」と述べていた。筆者もまったく同感である。
そうであるとするならば、今後を見据えるうえでの参考となり得るのは、むしろ2002年から03年にかけて世界で猛威を振るった「重症急性呼吸器症候群(SARS)」の事例がその一つということになるだろう。
ここであらためて当時の状況を紐解くと、SARSは02年11月に中国で集団感染が表面化し、その後は徐々に感染が世界的に拡大して、翌03年3月に世界保健機関(WHO)が「注意喚起」に踏み切ることとした。この間(約4カ月間)、世界の株価は下がり続けたわけだが、WHOから注意喚起がなされた時点をボトムに、その後は相当な勢いで上昇を続けることとなったのである。