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(*4)平成23年2月18日最高裁判決。(*5)令和元年5月30日東京地裁判決、令和元年11月27日東京高裁判決。ながみね・じゅん 東京大学文学部西洋史学科卒業、ウォートン・スクールMBA。バンカース・トラスト銀行等を経て、現在は永峰・三島コンサルティング代表パートナー。http://nagamine-mishima.jp/
住所地判断が重要 
 住所地によって日本の税金の範囲や有無が決まるため、「住所地判断」は非常に重要である。住所地を巡って納税者と国が争った事案では、広く報道され法律を変えるきっかけにもなった「武富士事件」がある。これは受贈者の住所地が日本か香港かで最高裁まで争われた事案である。最高裁では、贈与税回避目的でも、法解釈上は生活の本拠たる実態の具備か否かで住所地を決すべきとして、香港居宅と認定した(*4)。
 我が国で用いる、複数の要素による判断基準は万国共通でなく、米国やシンガポールのように一定の日数基準等で判定する場合が多いようだ。日本と海外の判断基準が異なるため、現地基準が日本基準に合致するかどうか注意が必要である。シンガポールや香港に183日以上居住しているので、日本では非居住者になると理解(誤解)されている方が間々おられるが私どもは以上の理由をご説明している。

日本の判断基準は
 日本の住所地判断であるが、私どもは下記の客観的要素から最近の司法判断も配慮し、これらを総合的に検討して判断している(*5)。読者諸氏もご参考にされたい。
 年間の国別滞在日数
 職業活動の本拠地
 生活場所や居宅の有無等
 生計を一にする配偶者や親族の居住地
 資産の所在地
 各種届出書(住民登録など)
本稿のまとめ
 非居住者になると、所得税法、相続税法ともに税の扱いが異なってくる。
 諸外国の住所地判断を日本税法の住所地判断には使えない。
 住所地は滞在日数のみでなく他の客観的事実を踏まえて判断する。
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