
(*3)日本の証券会社を通じて購入した場合を前提とした。本稿での外国株は外国市場に上場されているものとする。
ながみね・じゅん 東京大学卒業後、ウォートン・スクールMBA。バンカーズ・トラスト銀行等を経て、現在は永峰・三島コンサルティング代表パートナー。http://nagamine-mishima.jp/
ながみね・じゅん 東京大学卒業後、ウォートン・スクールMBA。バンカーズ・トラスト銀行等を経て、現在は永峰・三島コンサルティング代表パートナー。http://nagamine-mishima.jp/
源泉税は要注意
外貨建て金融商品には、国内よりも魅力的な配当となるものもあるようだが、外貨建てには上に挙げた為替差損益以外にも源泉税のダブル課税という税務特有の論点がある。
居住者が日本株から配当を日本国内で受け取る際には約20%の源泉税が天引きされるが、外国株の配当の場合(*3)には、まず現地国の法律に基づいて源泉税が引かれ、そこから更に日本の源泉税が引かれるという、一つの配当に対して二つの国からダブルで課税がかかってしまう。日本の源泉税は、外国源泉税控除後の配当に対して約20%の税率を適用して徴収されるのである。
実例で説明すると(外為の問題を避けるためドル建てで考えよう)、米国株から100米ドルの配当があった場合、まず10%が米国の源泉税で差し引かれ、残り90ドルに対して日本の源泉税約20%が引かれるため、手取りは72米ドル(=100米ドル-10米ドル-18米ドル)となり約28%の税金がかかることになる。
税金の本や国税庁のホームページを読むと、このような二重課税に対する救済措置として外国税額控除の制度が手当てされていると書かれているが、実際に適用を受けるには若干の複雑な計算と申告書を作成せねばならず、素人にはまず無理であろう。
ということで、こと外国株の配当については二重課税(アメリカならば10%)が課されていると覚悟することが賢明である。なお外国株の売却に関しては、ほとんどの租税条約などで現地国での売却益課税は免除になっているので、配当のような二重課税の問題は原則として起こらないことも付言しておく。
本稿のまとめ
●外貨預金をそのまま使って外貨建て資産を購入しても、いったん、円貨に交換したと仮定して為替差損益を計算しなければならない。
●外国株の配当が日本国内で交付される場合には、外国と日本の両国で源泉税が二重課税になる。
●二重課税に対しては、外国税額控除という救済制度もあるが利用するのは難しい。
●正しい所得計算をするにはかなりの知識が必要。
外貨建て金融商品には、国内よりも魅力的な配当となるものもあるようだが、外貨建てには上に挙げた為替差損益以外にも源泉税のダブル課税という税務特有の論点がある。
居住者が日本株から配当を日本国内で受け取る際には約20%の源泉税が天引きされるが、外国株の配当の場合(*3)には、まず現地国の法律に基づいて源泉税が引かれ、そこから更に日本の源泉税が引かれるという、一つの配当に対して二つの国からダブルで課税がかかってしまう。日本の源泉税は、外国源泉税控除後の配当に対して約20%の税率を適用して徴収されるのである。
実例で説明すると(外為の問題を避けるためドル建てで考えよう)、米国株から100米ドルの配当があった場合、まず10%が米国の源泉税で差し引かれ、残り90ドルに対して日本の源泉税約20%が引かれるため、手取りは72米ドル(=100米ドル-10米ドル-18米ドル)となり約28%の税金がかかることになる。
税金の本や国税庁のホームページを読むと、このような二重課税に対する救済措置として外国税額控除の制度が手当てされていると書かれているが、実際に適用を受けるには若干の複雑な計算と申告書を作成せねばならず、素人にはまず無理であろう。
ということで、こと外国株の配当については二重課税(アメリカならば10%)が課されていると覚悟することが賢明である。なお外国株の売却に関しては、ほとんどの租税条約などで現地国での売却益課税は免除になっているので、配当のような二重課税の問題は原則として起こらないことも付言しておく。
本稿のまとめ
●外貨預金をそのまま使って外貨建て資産を購入しても、いったん、円貨に交換したと仮定して為替差損益を計算しなければならない。
●外国株の配当が日本国内で交付される場合には、外国と日本の両国で源泉税が二重課税になる。
●二重課税に対しては、外国税額控除という救済制度もあるが利用するのは難しい。
●正しい所得計算をするにはかなりの知識が必要。