
家系三代にわたり受け継がれた時計哲学
1888年、カール・フリードリッヒ・ブヘラは妻ルイーズとともに宝飾店「ブヘラ」をルツェルンの地に構えた。当時の時計産業は懐中時計から腕時計への転換期。その中で1919年にカールは女性に向けて自店のオリジナル時計を創作した。その可憐な腕時計に施された優美な装飾が評判となり、瞬く間に欧州きっての時計宝飾店となる。その後1924年にはロレックスの取扱店として世界屈指の品数を揃え、ロレックス社と絆を深めて繁栄してきた。だが工場制機械工業化が進む中、家内制手工業的な彫金や宝飾の職人技が必要な自店の時計作りは生産性を欠いていた。そこへ時計技術を持つ二人の息子が多忙を極めた父を助けようとルツェルンに帰郷。しかし、わずか数年後の1933年に父カールは惜しくも他界する。家業の一切は二人の息子が継ぐこととなり、父親が培ってきた顧客を迎える経営スタイルと、そのニーズに応える時計作りを守り、現在のブランド化への礎を築き上げたのである。