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ただ、国民ウケのいいことをできるだけ数多く実践すればするほど、それらは結果的にドル買い要因と市場で見なされることとなる。その実、前述した大型減税などの財政出動に踏み切るために「超長期債を非常に真剣に検討している」とムニューシン財務長官が述べたところ、米10年債が売られて利回りが上昇し、ドルが買われるケースも見られた。むろん、それがたとえ目先的にはドル売り材料と捉えられる策、例えば連続&大幅利下げであったとしても、やはり最終的には米国経済とドルを押し上げる材料になりかわる。
 トランプ氏が何より関心を置いているのは「株価」であるに違いないというのは衆目の一致するところ。その株価を一段と押し上げるには、一に当局の緩和的な政策方針に対する市場の期待が盛り上がることが重要であり、結果として株価が更なる上値を目指せば、相応に「株高の資産効果」が米個人消費などに発現する。
 なかには、米政権による為替(ドル売り)介入の可能性を指摘する向きもあり、それは一つのリスクとして無視できない。しかし、仮に米政権が単独介入に踏み切れば、そのインパクトはあまりにも大きく、相応に世界経済には甚大なダメージが及ぶ。むろん、米国経済も無傷で済むはずはなく、景気後退となれば“トランプ再選"は露と消える。
よって、さしものトランプ氏でさえも、さすがに無暗(むやみ)な介入に踏み切るなどということはできないだろう。
(左)IoT時代は日本企業に勝機!
著者は、世界最大規模の市場調査・コンサルティング企業で日本調査部ディレクターを務める人物だけに、入念な調査に基づいて導き出した「日本復活の必然」という言葉には相応の説得力がある。世界中にIoTが普及していく時代にあって「関連製品を造る際に必要となる部品や技術がすべてそろっているのは日本だけ」というのは動かしようのない事実。「IoTの時代は(匠の技を持つ)日本企業の時代」という指摘にも大いに勇気づけられる。
『IoT最強国家ニッポン 日本企業が4つの主要技術を支配する時代』
南川明著/講談社+α新書/968円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。www.tomotaro-t.jimdo.com
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