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米大統領が諦めざるを得ないのはドル高の是正!?

田嶋智太郎 経済アナリスト
相変わらず、米トランプ大統領が発するツイートの内容次第で国際金融相場全体が大きく振らされる状況が続いている。これが、いつ何時飛び出すかわからないうえ、何らかのメッセージが発せられるたびに相場が過度に大きく変動するから始末に負えない。
 それは、多くの部分において同氏の発言に過剰反応する「アルゴリズム取引」のなせる業であると思われるが、それが現実である以上は文句の言いようもない。結果的に、目先は肝心なファンダメンタルズ面からの分析・アプローチというものが、あまり役に立たなくなってしまっていることも残念な事実の一つである。
 とはいえ、少し長い目で見ればトランプ氏がどう考え、何を叫ぼうと同氏の思いのままにはならないことも少なからずあり、そうしたことは最終的にファンダメンタルズに忠実に反映されるものと考えられる。そもそも、三つの望みを同時にかなえることが物理的に不可能な事象である政策の「トリレンマ」については、さしものトランプ氏といえども如何(いかん)ともしがたいところがあろう。
 言うまでもなく、同氏が来年の米大統領選で再選を果たしたければ、より国民ウケしそうな政策メニューをできるだけ多く用意したいところである。しかし、少なくとも必ずどれか一つは、物理的に諦めなければならないものがある。どうやら、それはトランプ氏にとっては「ドル高是正(=ドル安)」ということになりそうである。
 海外に米国産の農産物などを大量に買わせることや、海外製の精巧な工業品ができるだけ米国内に入ってこないように仕組むことなど、トランプ氏にとってはお手の物。また、中央銀行を脅して経済をバブル化させようと謀ったところで、それがうまく行かなければ最終的には財政赤字を巨大化させてでも財政による景気刺激策を打ち出す、国民が喜ぶ大型減税を実施するなどということもトランプ氏にとっては造作もないことと言えるだろう。
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