世界の贅沢、NILEの贅沢

サルトルとボーヴォワール、そしてゲーテ
文学者たちの恋物語

哲学界のスーパースターとミューズの愛のかたちとは

日本ではここ数年、哲学が静かなブーム。11月26日（土）から公開される映画「サルトルとボーヴォワール　哲学と愛」では、哲学界に大きな足跡を残し、世界中に影響を与えたジャン=ポール・サルトルと、シモーヌ・ド・ボーヴォワールの知られざる愛の物語が静かに明かされる。
　サルトルは「実存主義」を世に広め、60年代には“知の巨人"として世界中の若者に大きな影響を与えた作家であり哲学界のスーパースター。そんなサルトルにとって、生涯にわたる女神でありミューズであったシモーヌ・ド・ボーヴォワールは、著書「第二の性」でジェンダー論の基礎を作り、女性の幸福のために社会通念や偏見と闘い、自由恋愛から同性愛までを実践した人物だ。1929年、学生だった二人はソルボンヌ大学で運命的な出会いを果たす。そして生涯を通じて影響を与え合い、やがて世界的に有名になった二人は理想のカップルと称され、1980年のサルトルの死まで、今で言う事実婚のパートナーとして支え合った。
　しかし二人の愛のかたちは特異だった。サルトルはボーヴォワールに、将来への愛を誓いながら他の相手との関係も認め合い、その詳細を嘘偽りなく報告し合うことを提案する。“女には結婚と独身しか選択の余地が無い"という世間の因習に疑問を抱くボーヴォワールは、迷いながらもそれを受け入れる。サルトルはその後多くの女性と関係を持ち、ボーヴォワールは苦悩しながらも、やがて自ら新しい愛のかたちを実践してゆく。
　舞台となった30年代～40年代は、パリのカフェ文化が最も華やかだった時期。当時最先端のファッションやインテリアなどにも注目だ。また同時代を共に生きたカミュ、ジュネ、モーリヤック、マルロー、ジッドなどの著名人たちが登場し、彼らの日常を垣間見れるのもこの映画の楽しみのひとつだろう。

●サルトルとボーヴォワール　哲学と愛
11月26日（土）よりユーロスペースほか全国順次公開
http://www.tetsugakutoai.com/

映画「「ゲーテの恋 ～君に捧ぐ『若きウェルテル』の悩み～」はコチラ