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このスーパーサイクルの考え方からすれば、これからの半導体需要は以前よりも谷が浅くなり、山までの期間は長くなる。ただ、その割には2018年後半以降の落ち込みが急になっていることも事実であり、その点については「米中貿易摩擦の影響」と考えるのが適当であると思われる。実際、シリコンサイクルの地域別寄与度を確認すると、やはり米中の寄与度が抜きんでて高い。つまり、米中両国における景気の先行き見通しが改善しさえすれば、そのぶん世界の半導体需要も前倒しで回復基調に転じると考えることができるわけだ。
 その意味で、このところ米中貿易協議の進展期待が足元で強まってきていることや、中国政府が取り組む景気刺激策の効果に対する期待が急速に広まっていることは非常に重要なポイントとなる。言わずもがな、最近のSOX指数や日本の半導体関連株の上昇は、米中景気の持ち直しや半導体市場の底入れを先取りしたものと見ていいものと思われる。
 仮に米中貿易協議が一定の進展を見ることとなり、中国の景気刺激策が奏功することとなれば、半導体需要の持ち直しに対する期待が一層強まり、結果として日経平均株価が再び2万2000円台に乗せてくる可能性も高まるだろう。日本の半導体関連銘柄については超大型連休に相前後していったんは利益確定の売りに押される可能性もあるが、基本的には全体の底上げに一役買うものと期待したい。
(左)世界的投資家の慧眼に学ぶ
「もし私が10歳の日本人だったとしたら、日本を離れて他国に移住することを考えるだろう」と著者。一方で「5年後のアジアで最も幸福な国になるのは、朝鮮半島の統一国家だろう」、「次に起こる経済危機は、我々の人生で最悪のものになる」など、次々にセンセーショナルな内容の持論が飛び出してくるが、それぞれに説得力を持っているところが本書の魅力と言える。「世界3大投資家」と称される著者が教える“投資の心得”も大いに学びたい。
『お金の流れで読む 日本と世界の未来』
ジム・ロジャーズ著/PHP新書/994円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。www.tomotaro-t.jimdo.com
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