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金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト
株式相場底上げの鍵を握るのは半導体関連株
執筆時における世界の株式市場で、何より目を見張るのは「米フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)」の尋常でないほどの強い基調である。
同指数は、半導体の製造・流通・販売を手掛ける米企業(インテル、AMD、クアルコムなど30銘柄)の株式で構成される単純平均株価指数で、昨年末に一時1066まで下落したところから切り返し、足元では1482まで上値を伸ばして昨年3月につけた史上最高値(1431)を更新するに至っている。それにつれて執筆時の東京市場では東京エレクトロンやアドバンテスト、ディスコなどといった半導体関連銘柄の株価がすこぶる好調に推移しているのだ。
 実のところ、世界の半導体関連企業の収益状況の行方を大いに左右する世界的な半導体の需要が、縮小から底入れ&反転増に転じたという事実はいまだ確認されてはいない。既知のとおり、この半導体需要の増減はかねて「シリコンサイクル」と呼ばれる循環を繰り返しており、これまでは上昇(増加)局面と下落(縮小)局面がおのおの2年程度続くとされてきた。今回のシリコンサイクルでは、2016年後半から2018年の年初あたりまでの約2年間が増加局面と考えられており、過去の例に倣えば2018年後半あたりから2020年の年初あたりまでが縮小局面にあたるということになる。
 とはいえ、過去のシリコンサイクルがパソコンやスマートフォンの製品サイクルに規定されていたという事実から鑑みれば、もはや過去の常識は甚だ時代遅れということにもなろう。いまや時代はAIやIoT、自動運転、5Gなどといった新しい技術によって開かれようとしており、それらに関わる新たな半導体需要も急拡大しようとしている。よって、すでに古いシリコンサイクルの概念は目の前の現実に適合しにくくなっていると考えられ、昨今は従来のサイクルの概念を超越した新しいサイクル=「スーパーサイクル」に移行していると見る向きも少なくない。
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