PAGE...1|2
とはいえ、Jリートは増資の発表とそれによって調達した資金による物件取得の決定がほぼ同時であることから、最近は「増資で投資口数が増えても、新たな物件取得によって1口当たりの分配金額が増える」と見込まれる案件であれば、むしろ先回りして買っておこうと考える投資家が少なくないようなのだ。たとえば、今年1月に増資を発表したコンフォリア・レジデンシャル投資法人は、調達した資金などで「コンフォリア渋谷WEST」など都内のレジデンス9物件を取得したことにより、2019年7月期は前期比10%超の増益が見込まれるうえ、1口当たりの分配金も増える見通しであるとされる。
 もちろん、一般の投資家にとってJリートの各銘柄を個別で選別することは必ずしもたやすいことではない。単に利回りが高ければいいというものでもないし、やたらと公募増資を行えばいいというものでもない。それでも関連の情報を提供するWEBサイトなどを眺めていると、最近の大きな流れや傾向などが徐々に見えてきて、数あるなかから有望な銘柄を発掘できるチャンスもないではない。 
 また、2017年に金融庁の介入で大きく純資産を減らすこととなった『毎月分配型』のJリート・ファンドにも、昨今は少しずつ資金が戻ってきている。
 やはり、高齢者層には「年金プラスアルファの分配金」が人気であり、なかでも「あまり無理な分配をしていないファンド」に目が向けられやすくなっている。ファンドであれば、より小口からの投資が可能であるため、時間分散を図りながら複数回に分けて資金を投じるのも一手であろう。


(左)「 計測できない世界」への対処は不可避
『捨てられる銀行』シリーズも第3弾となり、一段と筆者の舌鋒は鋭くなっている。とくに第4章は「さよなら銀行」でくくられ、全体の重大テーマである「計測できない世界」が無残にも“壊れた”事例を過去の実話で追うくだりなどは、読む者をグッと引き付ける。これまで「計測できない世界」に無為無策だったのは必ずしも銀行だけではない。誰もがその対処法を真剣に考えて行動しさえすれば、未来も少しはマシになると考えさせられる。
『捨てられる銀行3 未来の金融 「計測できない世界」を読む』橋本卓典著/講談社現代新書/928円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。www.tomotaro-t.jimdo.com
PAGE...1|2

記事カテゴリー