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金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト
見直される「資産株」に注目!!
以前に本欄で「2019年の株式相場における注目度の高いテーマ」として、一つに『5G(第5世代移動通信システム)』を挙げた。実際、ここにきて市場における同テーマへの注目度は高まり続けているわけだが、もちろん他にも大いに注目できるテーマは数多くある。それは一つに『資産株』であり、良くも悪くも足元では1980年代のバブル期に大いに注目された懐かしの「Qレシオ」という株価指標を見直そうとする動きもある。
 その実、昨年12月下旬のどん底から徐々に相場が立ち直る過程において、かねて資産株としてよく知られる銘柄群(日本空港ビルディング、TBSホールディングス、東京都競馬など)の株価パフォーマンスが日経平均株価のそれを大きくアウトパフォームしていることは特筆に値する。これら企業が豊富に持つ株式や不動産などを時価評価したベースで企業価値を算出し直した場合、現在の株価は大いに割安と判断されるケースが少なくなく、そこに目を付けた買いが近頃は目立ち始めているというわけだ。
 もちろん、あのバブル期に囃(はや)された「ウォーターフロント相場」というのとは大きく異なる。あれから約30年という時が経過するなかで、不動産価格は収益還元法(賃料と利回りから物件価格を逆算する法)に基づく適正な値決めがなされるようになっているし、保有資産の換金方法も以前より遥はるかに多様化している。また、上場企業に対してコーポレートガバナンス・コードの適用が開始されたことで、資本効率の向上を求める株主の求めに真摯(しんし) に対応する企業経営者の姿勢も求められる時代である。
 業種としては、不動産や鉄道、倉庫、陸運、ガス、電力などといったところ。そうした業種に属する企業において、豊富に保有する価値ある資産をいつまでも「含み」のままにしておくことは、株主重視の観点からも難しい時代でもある。当面の資産価格の上昇と今後の資産活用の行方、その効果(収益への貢献)などが投資家にとって魅力に映る企業をあらためて丹念に掘り出してみるのも興味深いところと言えよう。
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