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左から、牛肉と筍のしゃぶしゃぶ。蛤のお椀。猪肉のみそ漬け焼き。菜の花を散らした大納言小豆ご飯。
柔らかくてアクのない山菜に丹波の土を感じる
そんな感動を反映して、神田さんが今回作った料理はすべて、山菜が主役になり脇役になりながら、丹波の味を盛り上げている。
 もう一つ、丹波で忘れてならないのは、山に棲む極上の猪たちだ。季節はずれではあったけれど、足立さんが仕留め、鮮度を封じ込めて保存していた猪肉を使って、野趣あふれる“猟師料理"に仕立てた。
 「丹波はフランスのワインのように、テロワール(地域固有の作物が育つ環境)を生かした農業をしていると実感しました。ただ残念なのは、丹波の山がすっかり植林されていて、雑木林が消えつつあることです。猪や鹿の肉、いろんな作物の質が落ちないかと心配です。でも今ならまだ、丹波本来の自然を取り戻せるはず。がんばって欲しいと思います。機会を見つけて今度は秋、松茸や栗の季節に来たいですね」
 神田さんの丹波の土への興味は尽きない。いや、彼は包丁を握る一方で今、土そのものをテーマにした活動に身を投じている。テーマは、「土の中に未来がある」――。
 ミシュランの星を持つ料理人たちと、NPO法人「FUUDO」を立ち上げ、食料自給率向上のためにできることをやろうと、食材の産地を訪ねるなどの活動をしている。
「土は命の源。農薬に頼らず、風土を大切にしたFood、食品を作ることを通して、命の循環に関するメッセージを発信したい」気持ちでいっぱいだ。土が育てる命が私たち人間の命を養うのだ。

●元麻布「かんだ」
東京都港区元麻布3-6-34 カーム元麻布1階
TEL03-5786-0150
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